🎯 このレッスンのゴール
- 不動産の税金を「取得・保有・譲渡」の3場面に分けて整理できる
- 各税が国税か都道府県税か市町村税かを言える
- 課税標準が「固定資産税評価額」になる税をまとめて押さえる
- 主な特例(住宅用地の特例・3,000万円特別控除など)を区別できる
- ひっかけ(1月1日所有者・土地は消費税非課税・短期/長期)を見抜ける
こんにちは、案内役の「いえ先生」です。税法は「暗記が多くてイヤだ」と言われがち。でも、不動産を「買うとき・持っているとき・売るとき」の3場面に分けると、いっきに整理できます。表でスッキリ覚えていきましょう。
税金は「3つの場面」で分けて覚える
不動産にかかる税金は数が多く見えますが、出てくるタイミングは大きく3つだけです。
- 取得時(買う・建てる・もらう)…不動産取得税、登録免許税、印紙税、消費税
- 保有時(持っている間、毎年)…固定資産税、都市計画税
- 譲渡時(売る)…譲渡所得に対する所得税・住民税
どの税も、次の3点で整理すると頭に残ります。
① 税の種類(国税か/都道府県税か/市町村税か)
② 課税標準(税額計算のもとになる金額。多くは固定資産税評価額)
③ 主な特例(税負担を軽くする住宅向けの優遇)
不動産は、買うときに「お迎え料」(取得税・登録免許税)、飼っている間は毎年「エサ代」(固定資産税・都市計画税)、手放すときに「お別れ料」(譲渡所得税)がかかる、と考えると流れがつかめます。買って終わりではなく、持っている間も毎年かかるのがポイントです。
A. 取得時の税金
① 不動産取得税(都道府県税)
不動産を取得したときに、都道府県が課す税金です。売買だけでなく、新築・増築・贈与・交換による取得も対象です。
- 税の種類:都道府県税(地方税)。市町村税ではない点に注意。
- 課税標準:固定資産税評価額(実際の購入価格や時価ではありません)。
- 非課税:相続による取得は非課税。また、国・地方公共団体などの取得も非課税です。
・税率の特例…本則4%だが、住宅および土地は3%に軽減(特例期間あり)。
・課税標準の特例…一定の新築住宅は課税標準から控除(要件を満たす住宅で一定額を控除)。
・宅地の課税標準…宅地は課税標準を価格の1/2とする特例があります。
※数値・期限は改正されるため、最新の正確な額は公式で確認してください。
② 登録免許税(国税)
登記をするときにかかる国税です。所有権の移転登記(売買・相続・贈与)や保存登記(新築の最初の登記)、抵当権の設定登記などにかかります。
- 税の種類:国税。
- 課税標準:不動産の登記は固定資産税評価額(抵当権設定は債権金額)。
- 特例:一定の要件を満たす住宅用家屋は、保存登記・移転登記の税率が軽減されます。
評価額2,000万円の中古住宅を買って所有権移転登記をすると、登録免許税の課税標準は購入価格ではなく固定資産税評価額2,000万円。これに税率を掛けて計算します。自宅用で要件を満たせば、軽減税率の対象になります。
③ 印紙税(国税)/④ 消費税
- 印紙税:国税。売買契約書や金銭消費貸借契約書などの契約書(課税文書)に、記載金額に応じた収入印紙を貼って納めます。印紙を貼らないと過怠税がかかりますが、契約自体は有効です。
- 消費税:建物の譲渡は課税されますが、土地の譲渡は非課税です。土地は「消費」されないものと考えられるためです。住宅の家賃(居住用)も非課税です。
「土地と建物をまとめて売買したとき、土地にも消費税がかかる」は誤り。土地の譲渡は消費税が非課税です。課税されるのは建物部分だけ。試験で頻出のひっかけです。
B. 保有時の税金
① 固定資産税(市町村税)
土地・家屋・償却資産を持っている間、毎年かかる市町村税です。宅建で最重要の税のひとつです。
- 税の種類:市町村税(地方税)。
- 納税義務者:その年の1月1日(賦課期日)現在の所有者。年の途中で売っても、その年の納税義務者は1月1日の所有者です。
- 課税標準:固定資産税評価額(固定資産課税台帳に登録された価格)。3年ごとに評価替えが行われます。
人が住むための土地(住宅用地)は、課税標準が大きく軽減されます。
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分)…課税標準を価格の1/6に。
・一般住宅用地(200㎡を超える部分)…課税標準を価格の1/3に。
さらに、一定の新築住宅は、税額そのものを一定期間2分の1に減額する措置があります。
② 都市計画税(市町村税)
道路や公園などの都市計画事業の費用にあてるための市町村税です。
- 税の種類:市町村税。固定資産税とあわせて納めます。
- 対象:原則として市街化区域内の土地・家屋。市街化調整区域には原則かかりません。
- 課税標準:固定資産税評価額。住宅用地には課税標準の特例(1/3・2/3)があります。
どちらも市町村税で、毎年1月1日の所有者に課税され、課税標準は固定資産税評価額。ちがいは「都市計画税は市街化区域がメイン」という点。固定資産税は区域に関係なく広くかかる、と整理しましょう。
C. 譲渡時の税金
① 譲渡所得(所得税・住民税)
不動産を売って利益(もうけ)が出ると、その利益(譲渡所得)に対して所得税(国税)と住民税(地方税)がかかります。
譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)−(特別控除)
・取得費…買ったときの代金・登録免許税など(不明なときは譲渡価額の5%とできる)。
・譲渡費用…売るためにかかった仲介手数料・取壊し費など。
所有期間で税率が大きく変わります。
・短期譲渡所得…譲渡した年の1月1日時点で所有5年以下。税率が高い。
・長期譲渡所得…同5年超。税率が低い。
判定の基準日は「売った日」ではなく譲渡した年の1月1日である点に注意です。
② 居住用財産の3,000万円特別控除
自分が住んでいた家(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。利益が3,000万円以下なら税金がかからない計算になります。
③ 軽減税率の特例・買換えの特例
- 居住用財産の軽減税率の特例…所有期間が10年超の居住用財産を売ると、長期よりさらに低い税率が適用されます。3,000万円特別控除と併用できます。
- 特定の居住用財産の買換えの特例…一定要件のもとで課税を将来に繰り延べる制度。これは3,000万円特別控除や軽減税率とは併用できません(どちらか一方)。
・「3,000万円特別控除」+「10年超の軽減税率」→ 併用OK。
・「3,000万円特別控除」+「買換えの特例」→ 併用不可。
また、特例は配偶者や親子など特別な関係者への売却には使えない、という要件もよく問われます。
取得・保有・譲渡の一覧表
ここまでを1枚にまとめます。税の種類と課税標準の列が、宅建で最も狙われるポイントです。
| 場面 | 税目 | 税の種類 | 課税標準 | 主な特例 |
|---|---|---|---|---|
| 取得 | 不動産取得税 | 都道府県税 | 固定資産税評価額 | 住宅・宅地の軽減、相続は非課税 |
| 登録免許税 | 国税 | 固定資産税評価額 | 住宅用家屋の軽減税率 | |
| 印紙税 | 国税 | 契約書の記載金額 | 記載金額に応じた税額 | |
| 消費税 | 国税 | 建物の対価(土地は非課税) | 土地の譲渡・住宅家賃は非課税 | |
| 保有 | 固定資産税 | 市町村税 | 固定資産税評価額 | 住宅用地1/6・1/3、新築住宅の減額 |
| 都市計画税 | 市町村税 | 固定資産税評価額 | 市街化区域、住宅用地1/3・2/3 | |
| 譲渡 | 譲渡所得税・住民税 | 所得税(国税)+住民税(地方税) | 譲渡所得(譲渡価額−取得費−譲渡費用) | 3,000万円特別控除、軽減税率、買換え |
・国税=登録免許税・印紙税・消費税・所得税。
・都道府県税=不動産取得税。
・市町村税=固定資産税・都市計画税。
「持っている間の税(固定資産税・都市計画税)は市町村」「取得税だけ都道府県」と覚えると整理しやすいです。
15年住んだ自宅を、取得費・譲渡費用を引いて2,800万円の利益で売却。所有10年超なので軽減税率の対象ですが、そもそも利益2,800万円は3,000万円特別控除の枠内。控除後の譲渡所得は0円となり、税金はかかりません。マイホーム売却の負担を大きく軽くする制度です。
税法は「種類・課税標準・特例」の表が頭に入れば得点源になります。とくに1月1日の所有者・土地は消費税非課税・短期/長期の3つはひっかけの定番。確認テストで仕上げましょう!
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. 不動産取得税は、市町村が課税する市町村税である。
正解は ×。不動産取得税は都道府県税です。保有時の固定資産税・都市計画税が市町村税で、混同させるひっかけです。
Q2. 相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税は課されない。
正解は 〇。相続による取得は不動産取得税が非課税です。一方、贈与や売買による取得は課税されます。
Q3. 土地と建物を売買した場合、土地の譲渡にも消費税が課される。
正解は ×。土地の譲渡は消費税が非課税です。課税されるのは建物部分のみ。頻出のひっかけです。
Q4. 固定資産税の納税義務者は、原則としてその年の1月1日現在の所有者である。
正解は 〇。賦課期日である1月1日現在の所有者が納税義務者です。年の途中で売っても、その年は1月1日の所有者が納めます。
Q5. 固定資産税・不動産取得税・登録免許税は、いずれも課税標準が固定資産税評価額である。
正解は 〇。これら不動産の税は、購入価格ではなく固定資産税評価額を課税標準とします(印紙税は契約書の記載金額なので例外)。
Q6. 譲渡所得の短期・長期は、売却した日に所有期間が5年を超えるかどうかで判定する。
正解は ×。判定の基準日は売却日ではなく譲渡した年の1月1日です。その時点で5年超なら長期、5年以下なら短期です。
Q7. 居住用財産の3,000万円特別控除と、特定の居住用財産の買換えの特例は、併用できる。
正解は ×。3,000万円特別控除と買換えの特例は併用できません。なお3,000万円特別控除と「10年超の軽減税率」は併用できます。
Q1. 不動産取得税は、国税・都道府県税・市町村税のどれ?
Q2. 登録免許税の課税標準は?(不動産の登記の場合)
Q3. 固定資産税と都市計画税は、どこが課税する税?
Q4. 住宅用地(200㎡以下の小規模住宅用地)の固定資産税の課税標準はどう軽減される?
Q5. 都市計画税が原則として課されるのはどの区域?
Q6. 譲渡所得の計算式は?
Q7. 自宅を売ったときに譲渡所得から控除できる「居住用財産の特別控除」の最高額は?
📌 このページのまとめ
- 不動産の税金は取得・保有・譲渡の3場面で整理する。
- 取得:不動産取得税(都道府県税)、登録免許税・印紙税・消費税(国税)。相続取得は不動産取得税が非課税。
- 消費税は建物は課税、土地の譲渡は非課税。
- 保有:固定資産税・都市計画税はともに市町村税。納税義務者は1月1日現在の所有者。
- 多くの不動産の税は課税標準が固定資産税評価額。住宅用地は1/6・1/3に軽減。
- 譲渡:所得税・住民税。1月1日時点で5年超なら長期・5年以下なら短期で税率が違う。
- 居住用財産は3,000万円特別控除。10年超の軽減税率とは併用可、買換えの特例とは併用不可。
- 税率・控除額・期限などの数値は改正されるため、最新の正確な値は公式で確認。