🎯 このレッスンのゴール
- 地価公示法のしくみ(公示価格・標準地・毎年1月1日)を説明できる
- 不動産の鑑定評価の3手法(原価法・取引事例比較法・収益還元法)の考え方を区別できる
- 住宅金融支援機構(フラット35)の役割と、直接融資の例外を言える
- 景表法・公正競争規約のルール(おとり広告の禁止・徒歩80m1分など)を覚える
- 5問免除科目(土地・建物)の基本をつかむ
こんにちは、先生役の「たく坊」です。とうとう最後のレッスンだね! 今回は「税・その他」の残りをまとめて片づけます。地価公示・鑑定評価・住宅金融・景表法・統計、そして5問免除の土地・建物。ひとつひとつは軽いので、暗記のコツだけ押さえれば確実に点になります。最後まで一緒に走り切りましょう!
1. 地価公示法 ―「土地の値段の基準」を国が示す
土地の取引をするとき、「この土地、いくらが適正なの?」と迷いますよね。そこで国(国土交通省の土地鑑定委員会)が、毎年「ここの土地はこのくらいですよ」という公示価格(こうじかかく)を公表します。これを定めているのが地価公示法です。
スーパーで魚に「適正価格はこのくらい」という参考値が貼ってあったら、買う側も売る側も値段の目安にできますよね。公示価格はまさに土地版の参考値=ものさし。一般の人が土地を売り買いするときの「指標(目安)」として使われます。
しくみのポイントを整理します。国土交通省の土地鑑定委員会が、都市計画区域などの中から代表的な地点(標準地(ひょうじゅんち))を選び、その毎年1月1日時点の正常な価格を判定して、官報で公示します。
・主体:国土交通省の土地鑑定委員会
・対象:選定した標準地(代表的な土地)
・基準日:毎年1月1日時点の正常な価格
・評価:2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価し、それをもとに委員会が判定
・目的:一般の土地取引の指標(取引価格の目安)になる
ある駅前の標準地について、2人以上の不動産鑑定士がそれぞれ「1㎡あたり○○円」と鑑定評価します。土地鑑定委員会はそれを調整して1月1日時点の正常価格を判定し、公示します。あなたが近くの土地を買うとき、この公示価格を見れば「相場からズレていないか」を判断できる、というわけです。
公示価格は、一般の取引で「これと同じ値段で売買しなさい」という強制ではありません。あくまで取引の指標(目安)です。ただし、不動産鑑定士が鑑定評価をするときや、公共事業用地を取得するときには、公示価格を規準とする(基準にする)ことが求められます。「一般人=指標/鑑定士・公共事業=規準」の差に注意。
2. 不動産の鑑定評価 ― 値段を出す3つの考え方
では、その土地や建物の値段は、どうやって求めるのでしょう。不動産鑑定では、アプローチのちがう3つの手法を使います。3手法は「何を手がかりに価格を出すか」がそれぞれ違うだけ。考え方を一言でつかめば暗記できます。
| 手法 | 考え方(一言で) | イメージ |
|---|---|---|
| 原価法 | いま建て直したらいくらか(再調達原価)を求め、古くなった分を差し引いて積算する。 | 「作るのにかかる値段」から出す |
| 取引事例比較法 | 似た不動産の取引事例を集め、条件のちがいを補正して比べて(比準して)価格を出す。 | 「ご近所の売値」から出す |
| 収益還元法 | その不動産が将来生む収益(家賃など)から逆算して価格を出す。 | 「稼ぐ力」から出す |
「原価=作る値段」「事例=近所の値段」「収益=稼ぐ値段」。3つの切り口を分けて覚えるのがコツです。
原価法は、対象の不動産をいまもう一度作る(再調達する)といくらかかるか=再調達原価を求め、そこから経年・老朽化などで価値が下がった分(減価修正)を差し引いて積算価格を出します。建物のように「作る費用」が想定しやすいものに向きます。
収益還元法には2タイプあります。
・直接還元法:1年間の純収益を、一定の還元利回りで割って一気に価格を出す。
・DCF法:毎年の純収益と、将来売ったときの値段(復帰価格)を、現在価値に割り引いて合計する、より精密なやり方。
賃貸ビルなど収益を生む不動産に特に有効です。
同じワンルームマンションでも――「いま建てると○○円、築年数で△△円減価」と見るのが原価法、「隣の似た部屋が□□円で売れた」と見るのが取引事例比較法、「家賃が月8万円入るからこの価格」と見るのが収益還元法。実務では3つを併用して、最終的な価格を判断します。
3. 住宅金融支援機構 ― 家を買うお金を支える
マイホームを買う多くの人は、銀行などから住宅ローンを借ります。その長期の住宅ローンを、民間の金融機関が安心して提供できるよう、後ろから支えるのが住宅金融支援機構(じゅうたくきんゆうしえんきこう)です。独立行政法人で、かつての「住宅金融公庫」の後身にあたります。
昔の住宅金融公庫は、国が直接お金を貸す「貸す人」でした。いまの機構は基本的に自分では直接貸さず、民間の銀行が貸した住宅ローンを買い取って証券にすることで、銀行が長期固定金利のローンを出しやすくする「裏方の支え役」に変わっています。
フラット35(証券化支援事業)
機構の中心業務がフラット35です。これは機構が民間金融機関と提携して提供する、長期固定金利の住宅ローン。銀行が貸したローンを機構が買い取り、それをまとめて証券にして投資家に売る――この証券化支援事業のしくみによって、銀行は長期固定の金利で貸せるようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| だれが貸す? | 窓口は民間金融機関(機構が直接貸すのではない) |
| 金利 | 長期固定金利(借りた時点の金利が完済まで変わらないタイプ) |
| 機構の役割 | ローンを買い取り・証券化して支援(証券化支援事業) |
| 対象 | 原則として本人や親族が住む住宅の建設・購入 |
機構は原則として直接お金を貸しませんが、例外的に自ら融資(直接融資)を行う場面があります。代表は災害復興のための融資。地震・水害などで住宅をなくした人への災害復興住宅資金などは、民間任せにできないため機構が直接貸します。ほかに、子育て世帯・高齢者世帯向けのバリアフリー・耐震改修など、政策的に必要な分野でも直接融資が認められています。
「機構はすべての住宅ローンを自ら直接貸し付ける」は誤り。原則は証券化支援(買取・保証)で、直接融資は災害復興など例外です。「原則=証券化/例外=直接融資」をセットで押さえましょう。
4. 景表法・公正競争規約 ― 広告のウソを禁止する
不動産の広告は、消費者にとって大事な判断材料。だからこそ、大げさな広告(誇大広告)やウソの表示は厳しく禁止されています。これを定めるのが不当景品類及び不当表示防止法(景表法)と、業界が自主的に作った公正競争規約(不動産の表示に関する公正競争規約)です。
・誇大広告:実際よりも著しく優良・有利と誤認させる表示。
・おとり広告:実際には存在しない物件、取引できない物件、取引するつもりのない物件を広告して客を集める行為。最も嫌われる典型例です。
「激安テレビあり!」のチラシを見て店に行ったら「もう売り切れ、こっちの高い方どう?」と言われる――実は最初から売る気がなかった。これがおとり広告です。不動産でも「好条件の部屋」で客を呼び、実際は別の物件に誘導するのは禁止です。
表示の具体的なルール
公正競争規約には、誤解を生まないための細かい基準があります。試験で頻出のものを表にしました。
| 項目 | 表示のルール |
|---|---|
| 徒歩所要時間 | 道路距離80mにつき1分として計算(端数は切り上げて1分)。信号待ちや坂道の時間は考慮しない。 |
| 市街化調整区域 | 原則、住宅を建てられないため、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません」等の旨を明示する。 |
| 新築の表示 | 「新築」と言えるのは、建築後1年未満で、かつ未使用のものに限る。 |
| おとり広告 | 存在しない・取引できない・取引する意思のない物件の表示は禁止。 |
いちばん有名なのは「徒歩は80mで1分」。たとえば駅から600mなら600÷80=7.5→切り上げて徒歩8分と表示します。
物件から最寄り駅まで道路距離が1,000mあるとき、1000÷80=12.5。端数は切り上げるので、広告には「徒歩13分」と表示します。「12.5分」や「徒歩12分」と書くのは誤りです。
5. 統計 ― 「最新の数字」は公式で確認
本試験では、地価の動き・新設住宅着工戸数・宅地建物取引業者の数・売買による土地取引件数といった「統計」から1問出題されます。ここは知識というより最新の数値を覚えているかを問う問題です。
地価公示の対前年変動率、新設住宅着工戸数、地価LOOKレポートの動向などは毎年新しい数字に入れ替わります。古い数字を覚えても本番では役に立ちません。直前期に、国土交通省などの公式発表で最新データを必ず確認してください。このページでは具体的な数値はあえて載せていません。「増えた/減った」の方向と最新の値を、受験する年の資料でチェックするのが正解です。
・地価公示:全国の地価が前年比で上がったか下がったか(用途別・地方別の傾向)
・新設住宅着工戸数:前年比で増えたか減ったか、持家・貸家・分譲の別
・宅地建物取引業者数:増加傾向か
・売買による土地取引件数(登記件数)の増減
「方向(増減)」と「最新の数字」をセットで、直前にだけ詰め込むのが効率的です。
6. 土地・建物(5問免除科目)
最後は、いわゆる「5問免除」科目に含まれる土地と建物です。登録講習を修了した人は本試験の最後の5問が免除されますが、そうでない人はここからも出題されます。常識+αで解ける良心的な分野なので、基礎だけ押さえましょう。
土地 ― どんな土地が住宅に向く?
ポイントは「安全で水はけのよい土地はよい/低くて軟弱な土地・崩れやすい土地は避ける」というシンプルな発想です。
| 区分 | 例と特徴 |
|---|---|
| 住宅に適した土地 | 台地・段丘など。地盤がしっかりして水はけがよく、洪水・地震に比較的強い。 |
| 避けたい土地 | 低地・埋立地・旧河道(昔の川筋)・盛土をした谷の埋立てなど。地盤が軟弱で、浸水・液状化・地盤沈下の危険がある。 |
| 注意が必要 | 急傾斜地・がけ地・切土と盛土の境は、土砂災害や不同沈下のおそれがあり要注意。 |
同じエリアでも、台地の上に建つ家は水害に強く地盤も安定しがち。一方、昔は川や池だった低地を埋め立てた土地は、地震のときに液状化しやすく、大雨で浸水もしやすい。「高くて固い土地は◎、低くて軟らかい土地は△」と覚えましょう。
建物 ― 構造の基礎
建物は、主な構造の特徴をざっくり区別できればOKです。
| 構造 | 特徴 |
|---|---|
| 木造(W造) | 軽くて加工しやすく、戸建てで多い。湿気・シロアリ・火に弱いので、防腐・防火の工夫が必要。 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄筋(引っぱりに強い)とコンクリート(圧縮に強い)を組み合わせた、両者の長所を活かす構造。耐久性・耐火性・耐震性に優れる。 |
| 鉄骨造(S造) | 鉄骨を骨組みにする。強くて大空間を作りやすいが、火災時の熱に弱いため耐火被覆が必要。 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 鉄骨をさらに鉄筋コンクリートで包む、もっとも頑丈な構造。高層建築に使われる。 |
鉄筋は引っぱる力に強く、圧縮(押しつぶし)に弱い。コンクリートは逆に圧縮に強く、引っぱりに弱い。この2つを組み合わせると弱点を補い合えるので、鉄筋コンクリート造は丈夫になる――この理屈を覚えておくと、構造の正誤問題に強くなります。
おつかれさま! 宅建を一周完走です 🎉
これで――権利関係・宅建業法・法令上の制限・税その他という宅建の4分野を、すべて一周しました! バラバラに見えた論点が、4本の柱として頭の中に並んだはずです。
ここまで本当によくがんばったね! 知識のインプットは、これで完成。あとは過去問の反復だけ。問題を解いて、間違えたところをこのサイトに戻って確認――このループを回せば、合格はもう目の前だよ。最後まで走り切った自分を、まずはほめてあげよう!
宅建は過去問が命の試験です。同じ論点が手を変え品を変え出題されるので、過去問を繰り返すほど得点が安定します。迷ったら、いつでもこのロードマップに戻ってきてください。
確認テスト
○か×かで答えてみましょう。タップすると答えと解説が出ます。
Q1 地価公示の公示価格は、標準地について毎年1月1日時点の正常な価格を判定したもので、一般の土地取引の指標となる。
○。標準地について毎年1月1日時点の正常価格を土地鑑定委員会が判定し、一般の土地取引の指標として公示します。
Q2 各標準地の鑑定評価は、2人以上の不動産鑑定士が行う。
○。1人ではなく2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価を行い、それをもとに土地鑑定委員会が価格を判定します。
Q3 原価法は、似た不動産の取引事例を比べて価格を求める手法である。
×。取引事例を比べるのは取引事例比較法です。原価法は再調達原価から減価修正して積算する手法です。
Q4 収益還元法には、直接還元法とDCF法があり、賃貸ビルなど収益を生む不動産の価格を求めるのに有効である。
○。収益還元法は収益から逆算する手法で、直接還元法とDCF法があります。収益不動産の評価に向きます。
Q5 住宅金融支援機構は、すべての住宅ローンを自ら直接、申込者に貸し付けている。
×。原則は証券化支援事業(フラット35)で、貸すのは民間金融機関です。機構が直接貸すのは災害復興など例外に限られます。
Q6 広告での徒歩所要時間は、道路距離100mにつき1分として表示する。
×。道路距離80mにつき1分です(端数は切り上げ)。100mではありません。
Q7 一般に、台地や段丘は宅地に適し、旧河道や埋立地などの低地は地盤が軟弱で宅地として注意が必要である。
○。台地・段丘は水はけがよく地盤も安定。旧河道・低地・埋立地は軟弱で浸水・液状化のおそれがあり要注意です。
一問一答
クリックで答えが開きます。サッと確認しましょう。
Q. 地価公示の公示価格は、いつの時点の価格?
Q. 標準地の鑑定評価は何人の鑑定士が行う?
Q. 鑑定評価の3手法を挙げると?
Q. フラット35の金利タイプは? 貸すのはだれ?
Q. 機構が例外的に直接融資する代表例は?
Q. 広告の徒歩所要時間は何mで1分?
Q. 実際には取引できない物件を広告して客を集めることを何という?
まとめ
・地価公示:土地鑑定委員会が、標準地の毎年1月1日時点の価格を、2人以上の鑑定士の評価をもとに判定し公示。一般取引の指標
・鑑定評価3手法:原価法(再調達原価)/取引事例比較法(事例から比準)/収益還元法(収益から逆算・直接還元法とDCF法)
・住宅金融支援機構:原則はフラット35=民間提携の長期固定金利・証券化支援。直接融資は災害復興など例外
・景表法・公正競争規約:誇大広告・おとり広告の禁止、徒歩は80mで1分、市街化調整区域である旨の明示
・統計:数値は毎年変わるので公式で最新を確認
・土地・建物(5問免除):台地は◎・低地や埋立地は△/RC造は「鉄筋=引っぱり・コンクリ=圧縮」