法令上の制限 暗記 計算あり

建築基準法

建物のルール。建蔽率・容積率の計算と接道義務を図でやさしく。

🎯 このレッスンのゴール

  1. 単体規定と集団規定のちがいが説明できる
  2. 用途制限の大枠(住居系・商業系・工業系)をつかむ
  3. 接道義務(幅員4m・接道2m)と2項道路・セットバックが分かる
  4. 建蔽率・容積率を自分で計算できる(前面道路による制限を含む)
  5. 防火地域・高さ制限・建築確認の要点を押さえる

こんにちは、先生役の「タッケン」です。建築基準法は暗記計算の両方が出る分野。でも大丈夫、覚える数字は決まっていて、計算もパターンは2つだけ。接道の「2m」、道路の「4m」、容積率の「12m未満」――この3つの数字を軸に、図でゆっくり攻略していきましょう。

1. 建築基準法は「2つの顔」を持つ

建築基準法は、建物の最低限のルールを定めた法律です。大きく分けると、ルールは単体規定集団規定の2グループに分かれます。この分け方が分かると、後の話がスッと入ります。

区分内容適用される場所
単体規定建物そのものの安全・衛生に関するルール。敷地・構造(耐震など)・防火・採光・換気・避難・設備(電気・配管)など、1棟ごとに守るべき基準。全国どこでも適用(原則)
集団規定まちなみ・周囲との調和に関するルール。用途制限・道路(接道義務)・建蔽率・容積率・高さ制限・防火地域など、まわりとの関係を整えるための基準。原則として都市計画区域・準都市計画区域内のみ
たとえ話:1人の身だしなみ/みんなのマナー

単体規定は「あなた自身が健康で安全か」という個人の身だしなみ。どこにいても守るべきルールです。集団規定は「まわりに迷惑をかけないか」という集団のマナー。だから、人が密集する都市計画区域・準都市計画区域で主に問われます。田畑だらけの場所まで「容積率を守れ」とは言わない、というイメージです。

ひっかけ注意:適用場所

「容積率の制限は全国どこでも適用される」は×。建蔽率・容積率・用途制限・接道義務などの集団規定は、原則として都市計画区域・準都市計画区域内でしか働きません。一方、構造耐力や避難などの単体規定は全国適用が原則です。

2. 用途制限 ― どこに何が建てられるか

用途制限とは、用途地域ごとに「建ててよい建物・ダメな建物」を定めるルールです。住宅地に大きな工場ができたり、静かな住宅街にパチンコ店ができたら困りますよね。それを防ぐのが用途制限です。13種類の用途地域がありますが、大枠は住居系・商業系・工業系の3つで考えると整理できます。

系統イメージ建てられる代表例/建てにくいもの
住居系静かに暮らす場所。とくに第一種低層住居専用地域は最も規制が厳しい。住宅・小さな店舗・小中学校はOK。大きな店舗・ホテル・パチンコ店などは不可(地域による)。
商業系お店やオフィスが集まる場所。規制はゆるい。ほとんどの店舗・事務所・映画館・ホテルがOK。住宅も建てられる。
工業系工場のための場所。工業専用地域は最も特殊。工場はOK。工業専用地域には住宅が建てられないのが最重要ポイント。
最頻出ポイント:住宅が建てられない唯一の地域

13の用途地域のうち、住宅・共同住宅・寄宿舎が建てられないのは「工業専用地域」だけです。逆に言えば、それ以外の12地域では住宅が建てられます。「住宅が建たない地域は?」と問われたら、迷わず工業専用地域と答えましょう。

具体例:用途地域をまたぐ敷地

1つの敷地が「第一種住居地域」と「近隣商業地域」にまたがる場合、用途制限はどちらに従うのでしょう。答えは敷地の過半(面積が大きいほう)の用途地域の制限に従います。たとえば住居地域が60%・商業地域が40%なら、敷地全体が住居地域の用途制限で判定されます。これを「過半主義」と覚えましょう。

3. 道路と接道義務 ― 「4m」と「2m」

建物は道路に接していないと、火事のときに消防車が入れず、住む人も逃げられません。そこで建築基準法は道路についてのルールを設けています。まず「建築基準法上の道路とは何か」を押さえましょう。

建築基準法上の道路(原則)

原則として幅員(道幅)4m以上のもの。具体的には、道路法による道路(国道・県道・市道など)、都市計画事業などで造られた道路、すでにあった道(既存道路)などが該当します。

そして、この道路に「ちゃんと接していなさい」というのが接道義務です。宅建で最も問われる数字の組み合わせです。

接道義務(暗記の核)

建築物の敷地は、幅員4m以上の道路に、2m以上接していなければならない。
覚え方:「道は4、接して2」。

図でイメージ(接道義務)

下の図は、上の道路に敷地が「口(くち)」を開けて接しているイメージです。この口の幅(接している長さ)が2m未満だと、原則として建物を建てられません。旗ざお地(細い通路の奥に敷地がある形)で問題になりやすい論点です。

═══════ 道路(幅員4m以上)═══════
        ┃←2m以上→┃
   ┌────┘         └────┐
   │      敷  地       │
   └──────────────────┘
      

2項道路(みなし道路)とセットバック

昔からの住宅地には、幅が4m未満の細い道がたくさんあります。これを全部「道路ではない」としてしまうと、そこに面する家がすべて建て替えできなくなってしまいます。そこで救済として登場するのが2項道路です。

用語内容
2項道路
(みなし道路)
建築基準法の適用時にすでに建物が立ち並んでいた、幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定したもの。条文(42条2項)から「2項道路」と呼ぶ。4m未満でも道路とみなす
道路の中心線原則、道路の中心線から左右に2mずつ(合計4m)下がった線を、新しい道路の境界線とみなす。
セットバック
(後退)
建て替えのとき、上の境界線まで敷地を後退(セットバック)させて建てる必要がある。後退した部分は道路とみなされ、敷地面積に算入できない(建蔽率・容積率の計算でも分母に入れない)。
ひっかけ注意:セットバック部分は「敷地」に入れない

セットバックで道路にした部分は、もう自分の使える敷地ではありません。建蔽率・容積率を計算するときの敷地面積(分母)から除外します。「後退部分も敷地面積に含めて計算する」は×。また、片側がガケや川の場合は、その反対側の境界線から4m下がった線が境界になります(中心からではない点に注意)。

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4. 建蔽率(けんぺいりつ)

建蔽率とは、敷地をどれだけ「建物で覆ってよいか」の割合です。真上から見たときの建物の面積(建築面積)を、敷地面積で割って求めます。日当たりや風通し、火事の延焼を防ぐために制限されています。

計算式

建蔽率 = 建築面積 ÷ 敷地面積
(逆に、建てられる建築面積 = 敷地面積 × 建蔽率)

建蔽率の上限は用途地域ごとに都市計画で指定されます(例:30%・40%・50%・60%・80%など)。さらに、一定の条件を満たすと上限が緩和(上乗せ)されます。

緩和の条件緩和の内容
角地など
(特定行政庁の指定)
建蔽率に +10%
防火地域内の
耐火建築物等
建蔽率に +10%
上の両方を満たす+20%(10+10で合算)
建蔽率80%の地域で、かつ防火地域内の耐火建築物等建蔽率の制限がなくなる(100%=制限なし)
計算例①:建蔽率

敷地面積200㎡、指定建蔽率60%の角地(+10%緩和あり)に建てる場合――
適用建蔽率 = 60% + 10% = 70%
建てられる建築面積 = 200㎡ × 70% = 140㎡
つまり、真上から見て最大140㎡まで覆える建物が建てられます。

5. 容積率(ようせきりつ)

容積率とは、敷地に対して「延べ床面積(各階の床面積の合計)」をどれだけ取ってよいかの割合です。建物のボリューム(高さ・階数)をコントロールします。

計算式

容積率 = 延べ面積 ÷ 敷地面積
(建てられる延べ面積 = 敷地面積 × 容積率)

前面道路による容積率の制限(最重要・計算頻出)

容積率には、都市計画で定めた指定容積率のほかに、前面道路の幅による制限があります。道が狭いのに巨大ビルが建つと交通がパンクするため、道幅でもボリュームを抑えるのです。

前面道路による制限(ここが核心)

前面道路の幅員が12m未満のときは、次の2つを計算し、小さいほうがその敷地の容積率の上限になります。
① 都市計画で定めた指定容積率
前面道路の幅員(m) × 法定乗数
(法定乗数:住居系は原則 4/10、その他=商業系・工業系などは原則 6/10
※前面道路が複数あるときは、最も広い道路の幅員を使います。

ひっかけ注意:12mが境目

前面道路の幅員が12m以上なら、②の計算は不要で、指定容積率がそのまま上限になります。「道路が12m以上あっても道路幅で計算しないといけない」は×。境目の数字「12m」と乗数「住居4/10・その他6/10」をセットで覚えましょう。

計算例②:前面道路による容積率制限

第一種住居地域(住居系)、敷地面積200㎡、指定容積率300%、前面道路の幅員6mの場合――

① 指定容積率 = 300%
② 前面道路による値 = 6m × 4/10 = 24/10 = 240%

小さいほうを採用するので、この敷地の容積率は 240%
建てられる延べ面積 = 200㎡ × 240% = 480㎡
(道路が狭いせいで、300%ではなく240%に抑えられた、という流れです。)

6. 防火地域・準防火地域

市街地の火災の延焼を防ぐため、駅前や幹線道路沿いなど建物が密集する場所には防火地域準防火地域が指定されます。そこでは、規模に応じて燃えにくい建物(耐火建築物・準耐火建築物等)にすることが求められます。

地域イメージ建物の制限(大枠)
防火地域最も厳しい。駅前・繁華街など。階数が3以上、または延べ面積100㎡超の建物は耐火建築物等に。それ以外も準耐火建築物等が必要。
準防火地域防火地域の外側。規模(階数・面積)に応じて耐火・準耐火建築物等とする。防火地域よりゆるい。
複数の地域にまたがる場合のルール(厳しいほう主義)

建物が防火地域と準防火地域にまたがって建つときは、原則として建物全体に、厳しいほう(防火地域)の規制が適用されます。用途制限が「過半(広いほう)主義」だったのに対し、防火の規制は「厳しいほう主義」。混同しやすいので対比で覚えましょう。

過半 vs 厳しいほう ― 混同注意

用途制限が複数地域にまたがる → 面積が過半の地域に従う。
防火/準防火にまたがる → 厳しいほう(防火地域)に従う。
「防火地域は過半のほうに従う」は×です。

7. 高さ制限と低層住居専用地域

日当たりや圧迫感を防ぐため、建物の高さにも制限があります。代表的なものを押さえましょう。

制限内容
斜線制限道路や隣地・北側からの斜めのライン内に建物を収める制限。道路斜線・隣地斜線・北側斜線の3種類がある。
日影規制
(にちえいきせい)
中高層の建物が周囲に落とす日影の時間を制限し、近隣の日当たりを守るルール。
絶対高さ制限第一種・第二種低層住居専用地域(および田園住居地域)では、建物の高さは原則10mまたは12mのうち都市計画で定めた高さまで。
外壁の後退距離低層住居専用地域などでは、都市計画で定めると外壁を敷地境界から1mまたは1.5m後退させる必要がある。
低層住居専用地域はとにかく厳しい

第一種低層住居専用地域は、用途制限・高さ(絶対高さ10/12m)・外壁後退まで、最も規制が厳しい地域です。「ゆったりした戸建ての住宅街」をイメージすると、なぜ厳しいかが腑に落ちます。

8. 建築確認

一定の建物を建てる・大きく増改築するときは、工事の前に建築確認を受け、建築主事や指定確認検査機関に図面をチェックしてもらう必要があります。法令に適合していることの事前審査です。

対象確認が必要となる主な規模(大枠)
特殊建築物劇場・病院・ホテル・共同住宅・学校・百貨店など、その用途部分の床面積が一定(200㎡超)の建築物。
大規模建築物木造で3階以上・延べ500㎡超・高さ13m超・軒高9m超のいずれか/木造以外で2階以上・延べ200㎡超のいずれか。
都市計画区域等内の建築物都市計画区域・準都市計画区域などの内では、規模の小さい一般の建築物でも新築には確認が必要。
手続きの流れ

建築確認(工事前の審査)→ 確認済証の交付 → 工事着手 → 工事完了後の完了検査検査済証の交付。原則として検査済証の交付を受けるまでは建物を使用できません(一定の例外あり)。「確認 → 着工 → 完了検査」の順番をセットで覚えましょう。

最新の数値は公式で確認を

建築確認が必要な規模(面積・階数・高さ等)や緩和の要件は、法改正で見直されることがあります(近年も木造の規模要件などが改正されています)。本ページの数字は学習用の目安です。受験年度の最新の法令・公式テキストで必ず確認してください。

お疲れさまでした! 計算は「建蔽率=面積÷敷地」「容積率は道路12m未満なら幅員×乗数と比べて小さいほう」。この2パターンを手で解けば本番で得点源になります。では確認テストで定着させましょう。

✏️ 確認テスト(全7問)

〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。

Q1. 建蔽率や容積率などの集団規定は、全国どこでも適用される。

正解は ×。建蔽率・容積率・用途制限・接道義務などの集団規定は、原則として都市計画区域・準都市計画区域内でのみ適用されます。全国適用が原則なのは単体規定です。

Q2. 用途地域のうち、住宅を建てられないのは「工業専用地域」だけである。

正解は 。13地域のうち、住宅・共同住宅が建てられないのは工業専用地域のみ。それ以外の12地域では住宅が建てられます。

Q3. 建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない。

正解は 。これが接道義務です。「道は4、接して2」で暗記しましょう。

Q4. 2項道路でセットバックした部分も、敷地面積に含めて建蔽率・容積率を計算する。

正解は ×。後退(セットバック)した部分は道路とみなされ、敷地面積から除外します。分母に入れてはいけません。

Q5. 敷地面積300㎡、指定建蔽率60%の角地で+10%の緩和を受けると、建築面積は最大210㎡まで建てられる。

正解は 。適用建蔽率は60%+10%=70%。300㎡×70%=210㎡です。

Q6. 住居系の地域で、指定容積率300%・前面道路の幅員6mのとき、この敷地の容積率の上限は300%である。

正解は ×。前面道路が12m未満なので、6m×4/10=240%と指定300%を比べ、小さい240%が上限になります。

Q7. 防火地域と準防火地域にまたがって建物を建てる場合、原則として建物全体に防火地域の規制が適用される。

正解は 。防火の規制は厳しいほう(防火地域)が建物全体に及びます。用途制限の「過半主義」と混同しないように。

📝 一問一答(全7問)

Q1. 建物そのものの安全・衛生に関する、全国適用が原則のルールを何という?
A. 単体規定です。集団規定(用途・道路・建蔽率など)は原則として都市計画区域・準都市計画区域内のみの適用です。
Q2. 接道義務の数字「道路の幅員」と「接する長さ」は?
A. 幅員4m以上の道路に、2m以上接すること。「道は4、接して2」。
Q3. 幅員4m未満でも特定行政庁の指定で道路とみなされる道を何という?
A. 2項道路(みなし道路)です。原則、中心線から左右2mずつ後退(セットバック)します。
Q4. 建蔽率と容積率の計算式は?
A. 建蔽率=建築面積÷敷地面積、容積率=延べ面積÷敷地面積
Q5. 前面道路による容積率制限が働くのは、幅員が何m未満のとき? 住居系の乗数は?
A. 幅員12m未満のとき。住居系の法定乗数は4/10(その他は6/10)。指定容積率と比べて小さいほうを採用します。
Q6. 1つの敷地が2つの用途地域にまたがるとき、どちらの用途制限に従う?
A. 敷地の過半(面積が大きいほう)の用途地域の制限に従います(過半主義)。
Q7. 第一種低層住居専用地域の絶対高さ制限は?
A. 原則10mまたは12mのうち、都市計画で定めた高さまで。最も規制の厳しい地域です。

このレッスンのまとめ

今日の要点

・建築基準法は単体規定(全国・建物の安全)集団規定(都市計画区域等・まちなみ)に分かれる。
・用途制限は過半主義。住宅が建たないのは工業専用地域だけ。
・接道義務は「幅員4m以上の道路に2m以上接する」。4m未満は2項道路+セットバック(後退部分は敷地面積に入れない)。
・建蔽率=建築面積÷敷地。角地+10%、防火×耐火+10%、80%地域×防火×耐火で制限なし。
・容積率=延べ面積÷敷地。前面道路12m未満なら「幅員×乗数(住居4/10・他6/10)」と指定容積率の小さいほう
・防火/準防火にまたがると厳しいほう(防火地域)。高さは斜線・日影、低層住専は絶対高さ10/12m・外壁後退。
・一定規模の建物は建築確認→確認済証→着工→完了検査→検査済証。

数字さえ覚えれば、建築基準法は安定した得点源です。次のレッスンでは、農地の取引や土地取引の届出など、ほかの法令上の制限を見ていきましょう。