🎯 このレッスンのゴール
- 都市計画法は「どこをどう開発するか」を決める法律だと分かる
- 都市計画区域・準都市計画区域と、区域区分(市街化区域/市街化調整区域/非線引き)を区別できる
- 用途地域13種類や地区計画などの「都市計画の中身」をざっくりつかむ
- 開発許可が必要な規模・不要な例外・手続き・工事完了公告前後の建築制限を答えられる
こんにちは、案内役の「タッケン」です。法令上の制限のトップバッターが都市計画法。専門用語が多くて身がまえてしまいますが、ねらいはたったひとつ、「無秩序な街の広がりを防ぎ、計画的に街をつくる」こと。この一本の軸を持って、上から順に整理していきましょう。
都市計画法って、何のための法律?
都市計画法は、計画的なまちづくりのルールを定めた法律です。建物が好き勝手に建ち、道路も下水道もないまま街が広がってしまうと、生活も防災も大変になります。そこで「どの区域を、どんなふうに開発し、どんな建物を建てていいか」をあらかじめ決めておくのが、この法律の役目です。
まっさらな広い土地に、みんなが思い思いに家を建てたらどうなるでしょう。道はぐにゃぐにゃ、田んぼの真ん中にいきなりビル……。都市計画法は、いわば街の設計図。先に「ここは住宅街」「ここはお店の通り」「ここはまだ手をつけない」と線を引いておくことで、整った街ができあがります。落書き帳ではなく、マス目入りのノートを配るイメージです。
まず大枠:都市計画区域と準都市計画区域
都市計画は、日本中どこにでもかけられるわけではありません。まず「区域」を指定し、その中で具体的な計画を立てていきます。出発点になるのが次の2つです。
| 区域 | どんな区域? |
|---|---|
| 都市計画区域 | 一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域。ここに本格的な都市計画をかける。原則として都道府県が指定する。 |
| 準都市計画区域 | 都市計画区域外で、放っておくと将来の街づくりに支障が出そうな(高速道路のインターチェンジ周辺など、開発が進みやすい)区域。乱開発を防ぐため都道府県が指定する。 |
準都市計画区域は、都市計画区域の外側に指定されます。「都市計画区域でも準都市計画区域でもない区域」も日本にはたくさんありますが、そこでは原則として用途地域などの規制はかかりません。まずは「都市計画区域=本丸」「準都市計画区域=区域外のお目付け役」と整理しましょう。
区域区分(線引き)── 都市計画法の心臓部
都市計画区域の中を、さらに「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることを区域区分(通称「線引き」)といいます。試験でいちばん問われる超重要テーマです。
市街化区域 すでに市街地になっている区域、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域。街を「広げていく」側。用途地域を必ず定める。
市街化調整区域 市街化を抑制すべき区域。街を「広げない・抑える」側。原則として用途地域を定めない。
非線引き区域 都市計画区域だが、まだ区域区分をしていない区域(正式には「区域区分が定められていない都市計画区域」)。線引きするかどうかは原則として任意。
市街化区域の定義は「すでに市街地を形成している区域 & おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」の2本立てです。「10年以内に市街化を図る区域」だけだと、すでに市街地の部分が抜け落ちて誤りになります。また「市街化調整区域=市街化を抑制すべき区域」であって、「市街化してはならない区域」「禁止区域」と言い換えると×。"調整・抑制"という言葉を正確に覚えましょう。
| 区域 | 性格 | 用途地域 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | すでに市街地 + おおむね10年以内に優先的に市街化 | 必ず定める |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域 | 原則 定めない |
| 非線引き区域 | 区域区分が定められていない都市計画区域 | 定めることができる(任意) |
大きな駅の周辺で、すでにマンションやお店がびっしりの一帯は市街化区域。そこから車で20分、田んぼと点々とした農家が広がり「ここはこのままの風景を守りたい」というエリアが市街化調整区域。同じ都市計画区域の中でも、「広げる場所」と「抑える場所」をきっぱり分けているわけです。
都市計画の「中身」いろいろ
区域を決めたら、その中に具体的な計画を盛り込んでいきます。3級ではなく宅建では、次のような「都市計画の種類」を浅く広く押さえます。深入りは不要ですが、名前と役割はセットで覚えましょう。
用途地域(13種類)
用途地域とは、「この一帯にはどんな用途の建物を建てていいか」を決めた地域のことです。全部で13種類あり、大きく住居系・商業系・工業系に分かれます。
| 系統 | 代表的な用途地域 | イメージ |
|---|---|---|
| 住居系(8種類) | 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域 | 静かな住宅街〜幹線道路ぞいの住宅地 |
| 商業系(2種類) | 近隣商業地域、商業地域 | 商店街・繁華街・オフィス街 |
| 工業系(3種類) | 準工業地域、工業地域、工業専用地域 | 工場や倉庫が建ち並ぶエリア |
用途地域は住居系8・商業系2・工業系3で合計13種類。今は「13種類あって、住居・商業・工業の3系統に分かれる」とつかめれば十分です。建てられる建物の細かな制限は、次の建築基準法(用途制限)で深掘りします。なお工業専用地域には住宅が建てられないのが代表的なひっかけです。
そのほかの都市計画
| 名称 | 役割(ざっくり) |
|---|---|
| 補助的地域地区 | 用途地域を補う形でかぶせる規制。例:高度地区(建物の高さの最高・最低限度)、高度利用地区、特別用途地区、防火地域・準防火地域、風致地区など。 |
| 都市施設 | 道路・公園・下水道・学校・病院など、街に必要な施設。市街化区域・非線引き区域では少なくとも道路・公園・下水道を定める。 |
| 市街地開発事業 | 一定区域でまとめて整備する事業。例:土地区画整理事業、市街地再開発事業など。市街化区域または非線引き区域で定める。 |
| 地区計画 | もっと小さな「街区レベル」で、建物の用途・かたち・道路などをきめ細かく定める計画。住民に身近なミニ都市計画。 |
市街地開発事業(区画整理など)は、街を整えて広げていく事業なので、市街化を抑制する市街化調整区域では定められません。「市街化調整区域で市街地再開発事業を定める」は誤りになりやすいので注意しましょう。
開発許可制度 ── ここが本番の頻出
都市計画法でいちばん試験に出るのが開発許可制度です。「土地に手を入れて建物を建てられる状態にする工事」には、勝手にやらせず都道府県知事の許可を必要とする、というしくみです。
開発行為とは?
開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設のために行う、土地の区画形質の変更をいいます。キーワードは「建築物(特定工作物)を建てる目的で」+「区画形質の変更(土地を造成して区画を整えたり、切土・盛土で形を変えたりすること)」。
逆に言うと、建物を建てる目的がない単なる造成や、土地の形を変えない単なる建て替えは、開発行為にあたりません。
・山林を切り開いて宅地に造成し、住宅を建てる → 開発行為(建築目的+形質変更あり)
・すでに整った宅地の上で、家を取り壊して新しい家を建てるだけ → 開発行為ではない(区画形質の変更がない)
・青空駐車場にするための整地(建物を建てない) → 原則 開発行為ではない
許可が必要な「規模」
開発行為であっても、規模が小さければ許可は不要です。どの区域かによって、許可が必要になる面積のラインが変わります。ここは数字をしっかり暗記しましょう。
| 区域 | 許可が必要な規模 |
|---|---|
| 市街化区域 | 1,000㎡以上(小規模なら不要) |
| 市街化調整区域 | 原則すべて(規模に関係なく許可が必要) |
| 非線引き区域・準都市計画区域 | 3,000㎡以上 |
| 上記以外の区域(都市計画区域・準都市計画区域の外) | 1ha(10,000㎡)以上 |
・市街化区域=1,000㎡を「100㎡」「10,000㎡」と入れ替える、
・市街化調整区域=規模に関係なく原則すべて許可必要なのに「1,000㎡以上」とする、
・非線引き=3,000㎡を「1,000㎡」とする……といったすり替えが定番です。「調整区域だけは面積の例外がなく原則すべて」と、まず軸を固めましょう。なお市街化区域でも、三大都市圏の一定区域などは500㎡以上で許可が必要とされる例外があります。最新の数値は公式(国土交通省・条例)で確認を。
許可が不要になる「例外」
規模のライン以上でも、次のような開発行為は許可が不要です。「みんなのため・暮らしのために必要なもの」が中心、とイメージすると覚えやすいです。
| 許可不要の例 | 理由のイメージ |
|---|---|
| 農林漁業用の建築物と、その従事者の住宅(市街化調整区域等での畜舎・温室・農家住宅など) | その土地で暮らし・営む人に必要だから |
| 公益上必要な建築物(駅舎・図書館・公民館・変電所など) | みんなのための施設だから |
| 国・都道府県等が行う開発行為(一定のもの) | 公的主体が計画的に行うから |
| 都市計画事業・土地区画整理事業等の施行として行うもの | すでに計画にもとづく事業だから |
| 非常災害の応急措置・通常の管理行為や軽易な行為 | 緊急性・軽微だから |
許可不要となる公益的建築物は法令で限定列挙されています。たとえば病院・学校・社会福祉施設などは、かつて許可不要だったものが現在は許可が必要とされており、ここを古い知識のまま「不要」と答えると×になります。最新の取り扱いは公式で確認しましょう。
開発許可の手続きの流れ
許可が必要な場合、おおまかに次の順で進みます。細かい数字より「順番」をつかむのが大切です。
事前協議・同意/協議 → 申請書を知事に提出 → 知事の許可・不許可(書面で通知)→ 開発登録簿に登録 → 工事 → 工事完了 → 知事へ完了の届出 → 知事の検査・検査済証の交付 → 工事完了の公告
| 段階 | ポイント |
|---|---|
| 申請前 | 公共施設の管理者の同意や、新設する公共施設の管理者等との協議などが必要。 |
| 許可・不許可 | 知事は遅滞なく審査し、許可・不許可を文書で申請者に通知する。 |
| 工事完了後 | 申請者は知事に完了を届け出、知事が検査して検査済証を交付し、工事完了の公告を行う。 |
工事完了公告の「前」と「後」の建築制限
開発許可を受けた区域(開発区域)では、いつ建物を建てていいかが制限されます。基準になるのが工事完了の公告です。
| タイミング | 原則のルール |
|---|---|
| 公告の前(工事中) | 開発区域内では、原則として建築物を建ててはならない。例外:工事用の仮設建築物、知事が支障なしと認めたもの、開発行為に同意していない土地所有者等が建てる場合など。 |
| 公告の後 | 原則として、許可された予定建築物等以外は建ててはならない。用途を変えるような建物も不可。例外的に、知事が許可した場合や用途地域が定められている場合などは別の建物も認められる。 |
工事完了公告の前は「まだ街の基盤が整っていないから、原則そもそも建てるな」。後は「基盤は整った。でも勝手な用途はダメ、計画どおり(予定建築物)に建てなさい」。前は建築そのものの制限、後は用途(予定どおりか)の制限、と性格が変わるのがポイントです。
市街化調整区域のうち開発許可を受けた区域以外の場所では、開発行為をともなわない建築(建物だけ建てる)にも原則として知事の許可が必要です。「調整区域は開発も建築も原則しばられる」と覚えておきましょう。
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. 市街化区域とは「おおむね10年以内に優先的に市街化を図るべき区域」のことだけをいう。
正解は ×。市街化区域は「すでに市街地を形成している区域」+「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」の2本立てです。既成市街地が抜けると誤りになります。
Q2. 市街化区域には用途地域を必ず定め、市街化調整区域には原則として用途地域を定めない。
正解は 〇。市街化区域は街を広げる側なので用途地域を必ず定め、市街化調整区域は抑制する側なので原則 定めません。
Q3. 開発行為とは、建築物を建てる目的があるかどうかに関係なく、土地の区画形質を変更することをいう。
正解は ×。開発行為は「主として建築物の建築(または特定工作物の建設)のために行う区画形質の変更」です。建築目的のない単なる造成は、原則として開発行為にあたりません。
Q4. 市街化区域では、原則として1,000㎡以上の開発行為に開発許可が必要である。
正解は 〇。市街化区域は原則1,000㎡以上で許可が必要です(三大都市圏の一定区域などでは500㎡以上とされる例外あり)。
Q5. 市街化調整区域では、1,000㎡未満の開発行為であれば開発許可は不要である。
正解は ×。市街化調整区域には面積の最低ラインがなく、原則として規模に関係なくすべて許可が必要です。「小さければ不要」は誤りです。
Q6. 駅舎や図書館など公益上必要な一定の建築物のための開発行為は、開発許可が不要である。
正解は 〇。駅舎・図書館・変電所など、法令で定める公益上必要な建築物のための開発は許可不要です。ただし病院・学校等は現在は許可が必要なので混同注意。
Q7. 開発許可を受けた開発区域内では、工事完了の公告があるまでの間でも、自由に建築物を建てることができる。
正解は ×。工事完了公告の前は、開発区域内に原則として建築物を建ててはなりません(工事用仮設建築物などの例外を除く)。公告後は予定建築物等以外を建てられません。
Q1. 都市計画区域の中を市街化区域と市街化調整区域に分けることを何という?
Q2. 市街化調整区域とは、どんな区域?
Q3. 用途地域は全部で何種類ある?
Q4. 開発行為の定義を一言で言うと?
Q5. 非線引き区域・準都市計画区域で開発許可が必要になる規模は?
Q6. 開発許可を出すのは誰?
Q7. 工事完了の公告の「後」、開発区域内には何を建てられる?
📌 このページのまとめ
- 都市計画法は計画的なまちづくりのための法律。まず都市計画区域・準都市計画区域という「区域」を指定する。
- 区域区分(線引き):市街化区域(既成市街地+おおむね10年以内に優先的に市街化/用途地域を必ず定める)、市街化調整区域(市街化を抑制/原則 用途地域なし)、非線引き区域。
- 都市計画の中身には用途地域(13種類)・補助的地域地区・都市施設・市街地開発事業・地区計画などがある。
- 開発行為=建築物等を建てる目的の土地の区画形質の変更。許可は知事が行う。
- 許可が必要な規模:市街化区域1,000㎡以上/市街化調整区域原則すべて/非線引き・準都市計画区域3,000㎡以上/それ以外1ha以上。農林漁業用・公益上必要な一定の建築物などは許可不要。
- 工事完了公告の前=原則 建築物を建てられない、後=予定建築物等以外は建てられない。
- 数字・区域・「抑制」などの言葉のすり替えがひっかけの定番。最新の数値は公式で確認を。