宅建業法 最重要 計算あり

8種制限・報酬計算

自ら売主のときの8つの制限と、報酬の速算式をマスターします。

🎯 このレッスンのゴール

  1. 8種制限が「いつ」適用されるか(自ら売主+買主が宅建業者でない)を言える
  2. クーリングオフの8日・解除できない場面を正しく判定できる
  3. 手付2割・損害賠償予定2割など、数字をきっちり区別できる
  4. 媒介・代理の報酬の速算式を覚え、売買・貸借の計算ができる

こんにちは、先生役の「たく坊」です。今回は宅建業法のヤマ場、8種制限報酬計算。8種制限は「プロ業者が、シロウトのお客さんに高く売りつけて泣かせないように」というルールの集まり。報酬計算は数字を覚えれば確実に得点できるサービス問題です。どちらも毎年出ます、一緒にしっかり固めましょう!

1. 8種制限は「いつ」かかる?(超重要)

8種制限とは、宅建業法が定める8つの特別なルールのことです。ただし、いつでもかかるわけではありません。次の2つの条件を両方とも満たすときだけ適用されます。

8種制限が適用される場面(両方そろったときだけ)

① 宅建業者が自ら売主となる売買であること
② 買主が宅建業者でない(=一般のお客さん)こと

つまり「プロが売主、シロウトが買主」というアンバランスな取引のときに、買主を守るために発動するルールです。だから、業者どうしの取引(買主もプロ)には適用されません。また、業者が媒介や代理でかかわるだけの取引にも適用されません(あくまで「自ら売主」のときだけ)。

たとえ話:プロ vs シロウトのボクシング

プロボクサー(宅建業者)と一般人(買主)が同じリングに上がったら、不公平ですよね。そこで「プロには重い手袋をはめる」「攻撃の範囲を制限する」といったハンデを課すのが8種制限です。相手もプロ(業者間取引)なら、ハンデは要りません。

ひっかけ注意:買主がプロなら全部はずれる

「宅建業者A(売主)が、宅建業者B(買主)に手付として代金の3割を受領した」――これは有効です。買主Bがプロなので8種制限がかからず、手付2割制限の対象外だからです。問題文の買主が業者かどうかを必ずチェックしましょう。

2. ①クーリングオフ

クーリングオフとは、事務所などの落ち着いた場所以外で勢いで申込み・契約をしてしまった買主が、あとから無条件で撤回・解除できる制度です。

適用される「場所」

ポイントは「どこで申込み・契約をしたか」。事務所等(落ち着いて判断できる場所)でした場合はクーリングオフできません。逆に事務所等以外(喫茶店・自宅に押しかけられた等)ならできます。

場所クーリングオフ
事務所できない
専任の宅建士を置く案内所・モデルルーム等(土地に定着)できない
買主が自ら申し出た自宅・勤務先できない
喫茶店・ホテルのロビーできる
テント張りの案内所など土地に定着しない場所できる
ひっかけ:買主が「呼んだ」かどうか

買主が自分から申し出て自宅や勤務先で契約した場合は、クーリングオフできません。一方、業者が勝手に押しかけてきた場合はできます。「自宅」というワードだけで判断せず、だれが申し出たかを読みましょう。

できなくなる2つの場合(8日・引渡し+全額)

次のどちらかに当たると、もうクーリングオフできない

① クーリングオフできる旨を書面で告げられた日から8日を経過したとき
② 買主が物件の引渡しを受け、かつ代金の全額を支払ったとき

①は「書面で告げられてから8日以内」が勝負。口頭で説明されただけでは8日のカウントは始まりません。②は「引渡し」と「代金全額支払い」の両方がそろって初めてできなくなります。片方だけならまだ解除可能です。

具体例

買主が喫茶店で申込み。引渡しは済んだが、代金はまだ8割しか払っていない。この場合「引渡し+全額支払い」の条件を満たさないので、(書面告知から8日以内なら)クーリングオフできます

解除は「書面」で・効力は発信主義

クーリングオフの解除は書面で行う必要があります。そして効力は、書面を発した時(発信時)に生じます(到達時ではありません)。8日目に投函すれば、到着が9日目でもセーフです。さらに、業者は受領した手付金等をすみやかに返還し、損害賠償や違約金を請求できません。買主に不利な特約は無効です。

3. ②自己の所有でない物件の契約制限

業者は、原則として自分の所有でない宅地・建物を、自ら売主として売買契約することができません。「持ってもいないモノを売る約束をして、結局用意できず買主が困る」ことを防ぐためです。対象は他人物未完成物件の2つ。

区分原則契約できる例外
他人物売買(他人の物件)契約禁止業者がその物件を取得する契約(予約を含む)を締結しているとき(停止条件付きはダメ)
未完成物件(建築中など)契約禁止手付金等の保全措置を講じるなど、後述④の要件を満たすとき
ひっかけ:停止条件付きの取得契約はダメ

他人物売買の例外は「取得する契約を締結していること」。ただし停止条件付き(条件が成就しないと取得できない)契約では、確実に取得できる保証がないため例外にあたらず、買主への売買契約はできません

4. ③手付額の制限

業者が自ら売主のとき、受け取れる手付は代金の2割(20%)まで。これを超える手付は受領できません(超えた部分は買主に返還)。

手付は「解約手付」とみなされる

受け取った手付は、その性質を問わず解約手付とみなされます。つまり、相手が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、業者(売主)は手付の倍額を現実に提供して、契約を解除できます。買主に不利な特約は無効です。

具体例

代金3,000万円の売買。手付の上限は 3,000万 × 20% = 600万円。仮に700万円を手付として定めても、業者は600万円までしか受領できません。

5. ④手付金等の保全措置

業者が買主から受け取る手付金等(手付金・中間金など、引渡し前に支払われ代金に充当されるお金)は、業者が倒産すると買主が泣き寝入りになりかねません。そこで、一定額を超える場合は保全措置(銀行の保証や保険など)を講じてからでないと受領できません。

物件保全が必要になる手付金等の額
未完成物件代金の5%または 1,000万円
完成物件代金の10%または 1,000万円
ひっかけ:基準以下なら保全不要/買主がすでに登記を備えたら不要

上の基準以下なら保全措置は不要です(例:完成物件で代金の10%ちょうどなら不要、超えたら必要)。また、買主が所有権移転登記を備えた場合などは、保全措置は不要になります。「○%超」と「ちょうど○%」を読み分けましょう。

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6. ⑤損害賠償額の予定等の制限

あらかじめ「契約違反したら○○円払う」と決めておく損害賠償額の予定違約金。これらを合算した額が代金の2割(20%)を超える定めはできません。

予定+違約金 ≦ 代金の20%

2割を超えて定めた場合、超える部分のみ無効になります(契約全体が無効になるのではありません)。たとえば代金2,000万円なら、予定額と違約金の合計は400万円まで。

手付2割と混同しない

「手付額」も「損害賠償予定+違約金」も、どちらも上限は代金の2割。数字は同じでも別々の制限です。なお、損害賠償の予定を定めていない場合は、実際に生じた損害額を請求でき、2割の縛りは受けません。

7. ⑥契約不適合責任の特約の制限

売った物件に「契約の内容に適合しない欠陥(雨漏りなど)」があったとき、売主が負う責任が契約不適合責任です。民法では、買主が不適合を知った時から1年以内に通知すれば責任を追及できます。

業者が自ら売主のときは、これより買主に不利な特約は原則として無効です。ただし1つだけ、有効にできる特約があります。

有効にできる唯一の特約

通知期間を「引渡しの日から2年以上」とする特約は有効です。「引渡しから2年」より短くする(例:1年)特約は、買主に不利なので無効。無効になった場合は、原則どおり「知った時から1年以内に通知」のルールに戻ります。

起算点に注意:「知った時から」ではなく「引渡しから」

有効にできるのは「引渡しの日から2年以上」。民法原則の起算点「知った時から1年」とは起算点が違います。ここを入れ替えるひっかけが頻出です。

8. ⑦割賦販売の解除制限/⑧所有権留保等の禁止

残り2つは、代金を分割で支払う割賦(かっぷ)販売に関するルールです。

制限内容
⑦割賦販売契約の解除等の制限賦払金の支払いが遅れても、30日以上の期間を定めて書面で催告し、その期間内に支払いがないときでなければ、解除や残金の一括請求ができない。これに反する特約は無効。
⑧所有権留保等の禁止割賦販売で、代金の3割を超える額を受領した後は、原則として所有権を売主に留保できない(=買主へ登記移転が必要)。代金の支払いを担保するための譲渡担保も原則禁止。

9. 8種制限まるごと一覧表

ここまでの8つを、数字に注目して一気に整理します。試験前はこの表を見返せばOKです。

#制限キモになる数字・要点
クーリングオフ事務所等以外/書面告知から8日/引渡し+全額支払いで不可/解除は書面・発信主義
他人物・未完成の契約制限原則禁止。例外=取得契約済み(停止条件付き不可)/保全措置等
手付額の制限代金の2割まで。手付は解約手付とみなす
手付金等の保全措置未完成=5%超or1000万円超/完成=10%超or1000万円超
損害賠償額の予定等の制限予定+違約金 ≦ 代金の2割。超過部分のみ無効
契約不適合責任の特約制限「引渡しから2年以上」の通知期間特約のみ有効
割賦販売の解除等の制限30日以上の期間を定め書面で催告
所有権留保等の禁止代金の3割超受領後は留保不可

10. 報酬の制限(売買の媒介)

ここからは数字を覚えれば確実に点が取れる報酬計算です。業者が媒介・代理で受け取れる報酬には上限があります。まずは売買の媒介の速算式から。

売買・交換の媒介報酬の速算式(本体価格=税抜に対して)

・取引額 200万円以下 … 取引額 × 5%
・取引額 200万円超〜400万円以下 … 取引額 × 4% + 2万円
・取引額 400万円超 … 取引額 × 3% + 6万円

この速算式は、本来「200万円以下の部分は5%、200万〜400万の部分は4%…」と段階ごとに計算する手間を、一発で出せるようにした便利式です。計算のもとにする取引額は、消費税を含まない本体価格を使います。

消費税の扱い(ここが落とし穴)

① 計算のもとにする取引額は税抜の本体価格。建物の代金に消費税が含まれていたら、税抜きに直してから速算式に入れます(土地は非課税なので税抜き処理は不要)。
② 出てきた報酬額に、最後に報酬としての消費税(課税業者なら10%)を上乗せします。「もとは税抜・最後に税込」と覚えましょう。

代理のとき・双方から受け取るとき

代理は媒介の2倍まで/合計には上限あり

代理で受け取れる上限は、媒介の速算式で出した額の2倍
・1つの取引で、業者が売主側・買主側の双方から受け取る場合でも、合計額は「媒介の2倍」が上限。一方から代理+他方から媒介、というケースでも合計が2倍を超えてはいけません。

計算例①(売買の媒介)

業者Aが、土地建物(本体価格2,000万円・税抜)の売買を媒介。Aが売主から受け取れる報酬の上限は?
速算式(400万円超):2,000万 × 3% + 6万 = 60万 + 6万 = 66万円
これに報酬の消費税10%を上乗せして、66万 × 1.10 = 72万6,000円が上限(課税業者の場合)。

11. 報酬の制限(貸借の媒介)

賃貸(貸借)の媒介では、業者が貸主・借主の双方から受け取る合計が、賃料の1か月分(+消費税)までが上限です。

貸借の媒介報酬の上限

・貸主+借主からの合計で、賃料の1か月分(+消費税)まで。
居住用建物の場合、依頼者の一方から受け取れるのは原則賃料の0.5か月分(折半)まで。ただし、媒介の依頼を受けるにあたり依頼者の承諾があれば、一方から1か月分を受け取ることも可能(合計1か月分の枠は変わらない)。

ひっかけ:居住用は「原則折半」、合計枠は1か月

居住用で承諾なく一方から1か月分を取るのは×。一方0.5+他方0.5が原則。なお、店舗など非居住用では折半ルールはなく、合計1か月分の枠内で配分は自由です(権利金がある場合は売買報酬の式を準用できる特例もあります)。

計算例②(貸借の媒介)

月額賃料20万円居住用マンションを、業者Bが借主の媒介。借主から承諾を得ていない場合、Bが借主から受け取れる報酬の上限は?
居住用は原則折半なので、20万 × 0.5 = 10万円。これに消費税10%を上乗せして、10万 × 1.10 = 11万円が上限。
(貸主・借主の合計では、賃料1か月分=20万円+消費税が上限)

数字さえ覚えれば報酬は得点源。「2割が出る3つ(手付・損害賠償予定・所有権留保は3割)」「保全は5%/10%・1000万」「クーリングオフは8日」――この数字セットを唱えられるようにしておきましょう!
演習確認テスト(○×・全8問)

〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。

Q1. 宅建業者Aが、宅建業者Bに自ら売主として土地を売るとき、Aは代金の3割を手付として受領できない。

正解は ×。買主Bが宅建業者なので8種制限は適用されず、手付2割制限の対象外です。3割の受領も有効です。

Q2. 買主が喫茶店で買受けの申込みをした場合、買主が自ら指定した場所でなければクーリングオフの対象になり得る。

正解は 。喫茶店は事務所等以外の場所なので、クーリングオフできます(書面告知から8日以内かつ引渡し・全額支払い前であること)。

Q3. クーリングオフできる旨を口頭で告げられた日から8日を経過すると、もうクーリングオフできない。

正解は ×。8日のカウントは書面で告げられた日から始まります。口頭告知では起算されず、まだクーリングオフできます。

Q4. 引渡しは受けたが代金の一部しか払っていない買主は、まだクーリングオフできる場合がある。

正解は 。クーリングオフできなくなるのは「引渡しかつ代金全額支払い」がそろったとき。全額未払いなら(8日以内なら)できます。

Q5. 自ら売主の業者が、損害賠償の予定額と違約金の合計を代金の3割と定めた特約は、全部有効である。

正解は ×。予定+違約金は代金の2割まで。2割を超える部分は無効になります(契約全部が無効になるわけではありません)。

Q6. 自ら売主の業者は、契約不適合責任の通知期間を「引渡しの日から2年」とする特約を有効に定められる。

正解は 。「引渡しから2年以上」とする特約は、買主に不利でも例外的に有効とされています。

Q7. 本体価格2,000万円(税抜)の売買を媒介した業者が売主から受け取れる報酬の上限は、消費税を上乗せして72万6,000円である。

正解は 。2,000万×3%+6万=66万円。報酬の消費税10%を加え 66万×1.10=72万6,000円が上限です。

Q8. 居住用建物の貸借の媒介で、業者は依頼者の承諾なしに、借主から賃料1か月分の報酬を受け取れる。

正解は ×。居住用は原則折半(0.5か月分)。一方から1か月分を取るには依頼者の承諾が必要です。

暗記一問一答(全8問)
Q1. 8種制限が適用される2つの条件は?
A. ①業者が自ら売主であること、②買主が宅建業者でないこと。両方そろったときだけ適用。
Q2. クーリングオフできなくなる「期間」の条件は?
A. クーリングオフできる旨を書面で告げられた日から8日を経過したとき。
Q3. クーリングオフできなくなる「履行」の条件は?
A. 買主が物件の引渡しを受け、かつ代金の全額を支払ったとき(両方必要)。
Q4. 自ら売主の業者が受け取れる手付の上限は?
A. 代金の2割(20%)まで。受け取った手付は解約手付とみなされる。
Q5. 手付金等の保全が必要になる額は(未完成・完成)?
A. 未完成=代金の5%超または1,000万円超、完成=代金の10%超または1,000万円超。
Q6. 損害賠償の予定+違約金の合計の上限は?
A. 代金の2割まで。超える部分のみ無効。
Q7. 売買の媒介報酬の速算式(400万円超)は?
A. 取引額(税抜本体価格)×3%+6万円。最後に報酬の消費税を上乗せ。
Q8. 貸借の媒介で、双方からの報酬の合計上限は?
A. 賃料の1か月分(+消費税)。居住用は一方から原則0.5か月分まで。

📌 このページのまとめ

  • 8種制限は「業者が自ら売主+買主が非業者」のときだけ適用。業者間取引・媒介には不適用。
  • クーリングオフ:事務所等以外/書面告知から8日引渡し+全額支払いで不可。解除は書面・発信主義。
  • 手付は代金の2割まで・解約手付とみなす。損害賠償予定+違約金も2割まで(超過部分のみ無効)。
  • 保全措置:未完成5%超/完成10%超、または1,000万円超で必要。所有権留保は代金3割超受領後は不可。
  • 契約不適合の特約は「引渡しから2年以上」だけ有効。
  • 売買媒介の速算式:200万以下=5%/200万超〜400万=4%+2万/400万超=3%+6万。代理は2倍、もとは税抜・最後に税込。
  • 貸借の媒介は合計賃料1か月分(居住用は原則折半)。
  • 細かい数値や運用は改正で変わり得るため、最新は国土交通省・宅建業法および公式で確認を。