🎯 このレッスンのゴール
- 一般・専任・専属専任の3つの媒介契約の違いを表で言える
- 有効期間3か月、レインズ登録日数、報告頻度の数字を正確に覚える
- 媒介契約書面に何が必要か(記名押印・価額の根拠明示)が分かる
- 誇大広告の禁止・取引態様の明示・広告開始時期の制限を区別できる
こんにちは、先生役の「タッケン先生」です。今回は宅建業法のなかでも毎年ほぼ確実に出る「媒介契約」と「広告規制」。覚えることは多く見えますが、ほとんどが数字の暗記です。表でスッキリ整理すれば、本番のひっかけも怖くありません。一緒にいきましょう!
1. 媒介契約とは?(34条の2)
媒介(ばいかい)契約とは、家を売りたい・貸したい人(依頼者)が、宅建業者に「買い手・借り手を探してください」とお願いするときに結ぶ契約のことです。宅建業者は、依頼者のために物件の買い手を探し、契約をまとめる手伝いをします。
このとき、業者が自分の都合のいいように動いたり、依頼者が知らないうちに不利になったりしないよう、宅建業法34条の2で細かいルールが決められています。媒介契約には、依頼者の自由度に応じて3つの種類(類型)があります。
家を売るのを、不動産屋という「お店」に頼む場面を想像してください。一般媒介は「いろんなお店に同時に頼んでもOK、自分で買い手を見つけてもOK」というゆるい約束。専任媒介は「お店は1つだけ。でも自分で見つけるのはOK」。専属専任媒介は「お店は1つだけ、しかも自分で見つけるのもダメ。すべてこのお店を通して」という、いちばんキツい約束です。約束がキツくなるほど、業者には「ちゃんと働く義務(報告・登録)」が重く課されます。
2. 3類型の比較(最重要・暗記の核)
ここが本レッスンの心臓部です。次の表を、丸ごと言えるようになるのが目標です。「約束がキツいほど、業者の義務も重くなる(日数は短く、報告は頻繁に)」という流れで覚えると、暗記がラクになります。
| 比較項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 他業者へ重ねて依頼 | できる | できない | できない |
| 自己発見取引 (自分で相手を見つける) | できる | できる | できない |
| 有効期間 | 制限なし (法律上の上限なし) | 最長3か月 | 最長3か月 |
| 業務処理状況の報告義務 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| レインズへの登録義務 | 義務なし (任意で登録可) | 契約日から7日以内 (休業日を除く) | 契約日から5日以内 (休業日を除く) |
専属専任は3つの中でいちばん縛りがキツい契約。そのぶん業者の義務も重く、登録は5日以内(専任の7日より短い)、報告は1週間に1回(専任の2週間より頻繁)になります。「キツい契約=業者はもっと働け」とイメージすれば、数字の大小を取り違えにくくなります。
本番では「専任媒介は5日以内、専属専任は7日以内」と数字を逆にした選択肢が定番のひっかけです。正しくは専任=7日以内、専属専任=5日以内。また日数は休業日(業者の休みの日)を除いて数えます。「契約成立日の翌日から」ではなく「契約締結日から」起算する点も押さえておきましょう。
報告も逆にされがちです。正しくは専任=2週間に1回以上、専属専任=1週間に1回以上。さらに「○○に1回以上」なので、もっと頻繁に報告するのは合法です。報告方法は口頭でもよく、書面に限られない点もひっかけになります(メールも可)。
3. 有効期間のルール(3か月)
専任媒介・専属専任媒介の有効期間は最長3か月です。ここには細かいルールがあります。
- 3か月を超える期間を定めても、自動で「3か月」に短縮されます。契約全体が無効になるわけではありません(超過部分だけがカットされるイメージ)。
- 更新するには、依頼者からの申出が必要です。業者が勝手に自動更新することはできません。
- 更新後の期間も、やはり3か月が上限です。
依頼者と業者が「有効期間6か月」で専任媒介を結んだとします。このとき契約自体は有効ですが、期間は3か月に短縮されます。「6か月だから無効」ではありません。また3か月たって続けたいときは、依頼者が「更新したい」と申し出れば、また最長3か月で更新できます。業者の側から「自動的に延長します」はNGです。
「3か月」の上限は専任系(専任・専属専任)だけのルールです。一般媒介には法律上の有効期間の上限はありません。「一般媒介も最長3か月」とする選択肢は誤りです。
4. 媒介契約書面の交付
宅建業者は、媒介契約を結んだら遅滞なく、媒介契約書面を作成して依頼者に交付しなければなりません。これは3つの類型すべてに共通の義務です(一般媒介でも必要)。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 誰が作る・誰に渡す | 宅建業者が作成し、依頼者に交付する |
| 記名押印 | 宅建業者の記名押印が必要(宅建士でなくてよい) |
| いつ | 媒介契約の成立後、遅滞なく |
| 価額への意見 | 業者が売買すべき価額(売り出し価格など)に意見を述べるときは、その根拠を明示しなければならない |
媒介契約書面の記名押印は宅建業者がするものです(後で学ぶ37条書面とは違い、宅建士の記名は不要)。また、業者が「この物件は3,000万円が妥当ですよ」と価額に意見を述べるときは、必ずその根拠を明らかにしなければなりません。根拠の明示は口頭でもよいとされますが、意見を述べる以上、根拠なしはNGです。
これまでの「媒介契約」のルール(書面交付・期間・登録・報告など)は、依頼者の代理を引き受ける「代理契約」にもそのまま準用されます。つまり「代理だから別ルール」ではなく、媒介とほぼ同じ扱いになる、と覚えておきましょう。
5. 広告規制①:誇大広告等の禁止
ここからは広告のルールです。宅建業者は、物件の広告でウソや大げさな表示をしてはいけません。これを誇大広告等の禁止といいます。
具体的には、次のような表示が禁止されます。
- 物件の所在・規模・形質などについて、著しく事実に相違する表示(=ウソ)
- 実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる表示(=盛りすぎ)
- 存在しない物件をあるかのように見せるおとり広告、取引できない物件を載せる虚偽広告
誇大広告は、実際に契約が成立しなくても、誰も損害を受けていなくても、表示をした時点で違反になります。「買った人がいなかったから問題ない」は通用しません。広告を出した行為そのものが取り締まりの対象です。違反すると監督処分のほか、6か月以下の懲役・100万円以下の罰金(またはその併科)という重い罰則もあります。
6. 広告規制②:取引態様の明示
取引態様(とりひきたいよう)の明示とは、その取引で業者がどの立場で関わるかをハッキリ示すルールです。「自ら売主なのか」「代理なのか」「媒介なのか」で、報酬の有無などが変わるため、相手が判断できるよう明示が求められます。
取引態様は、次の2つのタイミングで明示しなければなりません。
① 広告をするとき(広告のたびに毎回)
② 注文を受けたとき(問い合わせ・申込みを受けたとき)
「広告で示したから、注文時はもう不要」ではありません。両方とも必要です。
業者が自社サイトに物件を載せるとき、「媒介」「売主」などの態様を表示します(広告時の明示)。その広告を見たお客さんから「この物件を見たい」と電話が来たら、そのときにも改めて態様を伝えます(注文を受けたときの明示)。同じ媒体で複数の広告を出すなら、その広告ごとに明示が必要です。
7. 広告規制③:広告開始時期・契約締結時期の制限
まだ完成していない物件(未完成物件)は、好き勝手に広告・契約してよいわけではありません。買主を守るため、一定の許可・確認の後でなければ広告も契約もできないというルールがあります。
| 制限の種類 | 内容 | 対象となる取引 |
|---|---|---|
| 広告開始時期の制限 | 開発許可・建築確認等の処分があった後でなければ、広告をしてはならない | 売買・交換・貸借のすべて |
| 契約締結時期の制限 | 開発許可・建築確認等の処分があった後でなければ、契約を結んではならない | 売買・交換のみ (貸借は対象外) |
ポイントは、許可・確認の「申請中」ではダメで、処分(許可・確認)が下りた後でなければ広告・契約できない、という点です。「確認申請をしたから広告してよい」は誤り。あくまで確認・許可が出てからです。
広告開始時期の制限は、売買・交換・貸借のすべてに及びます。一方、契約締結時期の制限は売買・交換だけで、貸借は対象外です。つまり未完成物件でも、確認前に「貸す契約」を結ぶこと自体は禁止されていません(広告はダメですが)。この「広告=全部/契約=貸借は除く」のズレが頻出のひっかけです。
8. 報酬を受けられる時期
宅建業者が報酬(仲介手数料)を受け取れるのは、取引が成立したときです。媒介契約を結んだだけ、広告を出しただけでは報酬は請求できません。
業者がいくら買い手探しをがんばっても、売買契約が成立しなければ報酬はもらえないのが原則です。逆に言えば、契約がまとまって初めて、決められた上限の範囲で報酬を請求できます(報酬額の具体的な計算は別レッスンで学びます)。
おつかれさまでした!この単元は「専任7日/専属専任5日」「専任2週/専属専任1週」「期間3か月」の数字さえ固めれば、得点源になります。あとは広告の「処分があった後」「広告は全部・契約は貸借除く」を押さえればバッチリ。さっそく問題で確かめましょう!
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. 専属専任媒介契約では、依頼者が自分で買い手を見つけて直接契約すること(自己発見取引)ができる。
正解は ×。自己発見取引ができないのが専属専任媒介の特徴です。自分で見つけた相手でも、業者を通さなければなりません。自己発見ができるのは一般媒介と専任媒介です。
Q2. 専任媒介契約のレインズへの登録は、契約日から5日以内(休業日を除く)に行わなければならない。
正解は ×。専任媒介は7日以内です。5日以内は専属専任媒介の方。数字を逆にした定番のひっかけです。いずれも休業日を除いて数えます。
Q3. 専属専任媒介契約では、業務処理状況を1週間に1回以上、依頼者に報告しなければならない。
正解は 〇。専属専任は1週間に1回以上、専任は2週間に1回以上の報告義務があります。キツい契約ほど報告は頻繁、と覚えましょう。
Q4. 専任媒介契約で有効期間を6か月と定めた場合、その契約は無効となる。
正解は ×。契約が無効になるのではなく、期間が3か月に短縮されます。超過部分だけがカットされ、契約自体は有効です。
Q5. 誇大広告は、実際に取引が成立せず、損害を受けた人がいなくても違反となる。
正解は 〇。誇大広告は表示をした時点で違反です。損害の有無や契約成立は関係ありません。罰則もある重い違反です。
Q6. 取引態様の明示は、広告をするときに行えば足り、注文を受けたときには改めて明示する必要はない。
正解は ×。取引態様は①広告のとき と ②注文を受けたとき の両方で明示が必要です。片方だけでは足りません。
Q7. 未完成の建物について、貸借の媒介の広告は、建築確認を受けた後でなければできないが、貸借の契約自体は建築確認前でも結べる。
正解は 〇。広告開始時期の制限は貸借にも及ぶので広告は確認後でないとダメですが、契約締結時期の制限は売買・交換のみで貸借は対象外。よって貸借の契約は確認前でも可能です。
Q1. 専任媒介・専属専任媒介の有効期間の上限は?
Q2. レインズへの登録期限は、専任媒介と専属専任媒介でそれぞれ何日以内?
Q3. 業務処理状況の報告頻度は、専任媒介と専属専任媒介でそれぞれ何回以上?
Q4. 媒介契約書面に記名押印をするのは誰?
Q5. 業者が物件の価額について意見を述べるとき、何が必要?
Q6. 誇大広告は、損害が発生しなければ違反にならない?
Q7. 取引態様を明示しなければならない2つのタイミングは?
Q8. 契約締結時期の制限が及ばない取引は?
📌 このレッスンのまとめ
- 媒介契約は一般・専任・専属専任の3類型。キツい契約ほど業者の義務が重い。
- 有効期間:専任系は最長3か月(超過分は3か月に短縮、一般は上限なし、更新は依頼者の申出が必要)。
- レインズ登録:専任=7日以内、専属専任=5日以内(休業日を除く)。
- 報告義務:専任=2週間に1回以上、専属専任=1週間に1回以上。
- 媒介契約書面は業者が記名押印し依頼者に交付。価額の意見には根拠の明示が必要。代理契約にも準用。
- 誇大広告の禁止:損害がなくても表示した時点で違反。
- 取引態様の明示:①広告時 ②注文時 の両方で必要。
- 時期の制限:処分(許可・確認)があった後でないと不可。広告は売買・交換・貸借すべて、契約は売買・交換のみ(貸借は除く)。
- 報酬は取引が成立して初めて受け取れる。