🎯 このレッスンのゴール
- 合格→登録→宅建士証という流れと、有効期間のちがいを言える
- 専任の宅建士の設置義務(5人に1人)と3つの独占業務を覚える
- 営業保証金の金額・供託先・タイミングを正確に押さえる
- 保証協会の分担金のしくみと、営業保証金との違いを比較できる
こんにちは、案内役の「タッケン先生」です。この回のテーマは2つ。ひとつは「宅建士」という人のルール、もうひとつは「お客のお金を守るしくみ」。どちらも数字のひっかけが大好物の論点です。金額・先・タイミングをセットで覚えれば、ここは大きな得点源になりますよ。
1. 宅建士になるまで(合格→登録→宅建士証)
宅建士の試験に合格しただけでは、まだ宅建士として仕事はできません。次の3ステップを順に踏む必要があります。
① 試験に合格 → ② 都道府県知事の登録 → ③ 宅建士証の交付を受ける
このうち②の登録には、原則として2年以上の実務経験が必要です。実務経験がない人でも、登録実務講習を修了すれば、実務経験があるものとして登録できます。登録は、合格した試験を行った都道府県の知事に対して行います。
試験合格は、運転免許でいう「学科・技能に受かった」状態。でも、まだ免許証(カード)は手元にありません。登録が役所への正式な名簿登載、宅建士証が実際に持ち歩く免許証カード、というイメージです。カードがあって初めて「私は宅建士です」と胸を張れます。
登録と宅建士証の「有効期間」のちがい
ここが最初のひっかけポイントです。登録そのものに有効期間はなく一生有効ですが、宅建士証には5年の有効期間があり、更新が必要です。
| 項目 | 有効期間 | 更新時のポイント |
|---|---|---|
| 登録 | 一生有効(期間なし) | 欠格事由に当たると消除される |
| 宅建士証 | 5年 | 更新には法定講習の受講が必要 |
「宅建士の登録は5年ごとに更新が必要」は誤り。5年なのは宅建士証のほうで、登録は一生有効です。また、試験合格そのものにも有効期限はなく、合格は一生有効です。「登録=一生/宅建士証=5年」とセットで覚えましょう。
登録の欠格事由(さわり)
一定の事情がある人は、登録を受けられません(=登録の欠格事由)。代表的なものだけ、ここでつかんでおきましょう。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
- 一定の犯罪などで禁錮以上の刑に処せられ、執行終了から5年を経過しない者
- 宅建業法違反などで罰金に処せられ、5年を経過しない者
- 不正の手段で免許を受けたなどで免許を取り消され、5年を経過しない者
変更の登録・死亡等の届出
登録内容に変わったことがあれば、放っておかず届け出ます。混同しやすいので整理します。
| 手続き | どんなとき | だれが |
|---|---|---|
| 変更の登録 | 氏名・住所・勤務先の宅建業者など登録事項が変わった | 本人が遅滞なく |
| 死亡等の届出 | 本人の死亡・破産など、登録できない事由が生じた | 相続人など一定の者が30日以内 |
2. 宅建士証の提示義務
宅建士証は、持っているだけでなく「見せる場面」が決まっています。
- 取引の関係者から請求があったとき:宅建士証を提示しなければならない。
- 重要事項の説明をするとき:請求がなくても、必ず提示しなければならない。
重要事項の説明では「相手から言われたら見せる」ではなく、請求がなくても自分から提示が正解です。一方で、ふだんの取引関係者への提示は「請求があったとき」。この2つを混ぜた誤り選択肢が頻出します。
3. 専任の宅建士の設置義務
宅建業者は、事務所ごとに一定数の専任の宅建士を置かなければなりません。基準はシンプルです。
事務所では、業務に従事する者5人に1人以上の割合で、専任の宅建士を置く。
5人に1人以上なので、11 ÷ 5 = 2.2 → 切り上げて3人以上の専任宅建士が必要です。「2人でよい」は誤り。割り切れないときは、必ず切り上げる点に注意しましょう。(5人なら1人、6人なら2人、10人なら2人、11人なら3人)
専任の宅建士が基準を欠いたら、2週間以内に必要な措置(補充など)をとらなければなりません。「1か月以内」などの数字に置き換えた誤りに注意。
4. 宅建士だけができる「3つの独占業務」
次の3つは、宅建士でなければできません(=独占業務)。ここは確実に覚えましょう。
| 独占業務 | 内容 |
|---|---|
| ① 重要事項の説明 | 契約前に、物件や取引条件の大事な点を説明する |
| ② 35条書面(重要事項説明書)への記名 | 重要事項説明書に宅建士が名前を記す |
| ③ 37条書面(契約書面)への記名 | 契約内容を記した書面に宅建士が名前を記す |
3つの独占業務は、専任でない宅建士でも行えます。「重要事項の説明は専任の宅建士でなければできない」は誤り。設置義務(専任)と独占業務(宅建士なら可)は別の話です。
5. お客を守るお金①:営業保証金
不動産取引は金額が大きく、もし業者とのトラブルでお客が損をしたら大変です。そこで宅建業法は、あらかじめお金を預けさせておき、いざというときお客に支払うしくみを用意しています。その方式の一つが営業保証金です。これは業者が自分で供託所にお金を預ける(=供託する)方式です。
営業保証金は、お店が「ちゃんと責任をとります」という証として、役所(供託所)にあらかじめ預けておく保証金のようなもの。もしお客が取引で損をしたら、この預けたお金から弁償してもらえます。お客にとっての安心料、というわけです。
いくら、どこに預ける?
| 事務所 | 供託する金額 |
|---|---|
| 主たる事務所(本店) | 1,000万円 |
| 従たる事務所(支店)1か所につき | 500万円 |
供託先は、主たる事務所(本店)の最寄りの供託所です。支店ごとにその近くの供託所に預けるのではなく、すべてまとめて本店最寄りの供託所に供託します。
本店1,000万円 + 支店500万円 × 2 = 合計2,000万円を、本店最寄りの供託所に供託します。支店の近くに分けて預けるのではない点がポイントです。
業者は、供託をして、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、事業を開始できません。「免許をもらえばすぐ営業できる」は誤り。免許 → 供託 → 届出 → 開業の順です。また、免許後3か月以内に供託の届出がないと、催告のうえ免許が取り消されることがあります。
還付・補充・取戻し
- 還付(かんぷ):取引でお客(取引の相手方)が損をしたとき、供託されたお金から弁済を受けられること。ただし宅建業者は、還付を受けられません(守られるのは一般のお客)。
- 不足の補充:還付があると保証金が減るので、業者は通知を受けてから2週間以内に不足分を供託しなければなりません。
- 取戻し(とりもどし):廃業や一部支店廃止などで保証金が不要になったとき、業者が預けたお金を返してもらうこと。原則として6か月以上の期間を定めて公告し、申し出がなければ取り戻せます。
還付を受けられるのは「宅建業に関する取引をしたお客」です。宅建業者どうしの取引相手である業者は、還付を受けられません。よく出るひっかけなので要注意です。
6. お客を守るお金②:保証協会(弁済業務保証金)
本店だけでも1,000万円は、開業したての業者には大きな負担です。そこで、保証協会に加入(社員になる)すれば、営業保証金の供託が不要になります。そのかわり、ぐっと安い弁済業務保証金分担金を協会に納めます。
一人で大金を積む(営業保証金)かわりに、たくさんの業者でお金を出し合って共同のプールを作るイメージが保証協会です。少ない分担金で、いざというときの備えをみんなで支え合います。だから一人あたりの負担が小さくなるのです。
いくら納める?(分担金)
| 事務所 | 分担金の額 |
|---|---|
| 主たる事務所(本店) | 60万円 |
| 従たる事務所(支店)1か所につき | 30万円 |
分担金は金銭で、保証協会に納付します(業者が供託所に預けるのではありません)。納付を受けた協会が、まとめて供託所に供託します。納付のタイミングは、原則として協会に加入しようとする日までです。
本店60万円 + 支店30万円 × 2 = 合計120万円を協会に納付すればOK。営業保証金なら同じ規模で2,000万円ですから、負担の差は歴然です。
還付の流れ・還付充当金
- 還付:お客が損をしたら、まず保証協会の認証を受け、最終的に供託所から弁済を受けます。還付の限度額は「もしその業者が営業保証金を供託していたら」という金額(本店1,000万円+支店500万円相当)まで。分担金(60万円など)の範囲ではない点が重要です。
- 還付充当金:還付で保証協会のお金が減ると、協会は不足を供託します。そして協会は当該業者に通知し、業者は通知を受けてから2週間以内に還付充当金を協会に納めなければなりません。納めないと社員の地位を失います。
宅建業者は、1つの保証協会にしか加入できません。複数の協会にダブって加入することはできない点に注意しましょう。また、社員の地位を失ったら、1週間以内に営業保証金を供託しなければ営業を続けられません。
7. 営業保証金 vs 保証協会(比較表)
2つのしくみは、最後はこの表で「金額・納付先・タイミング」を並べて覚えるのが効率的です。
| 項目 | 営業保証金 | 保証協会(弁済業務保証金) |
|---|---|---|
| 本店の額 | 1,000万円 | 分担金 60万円 |
| 支店1か所 | 500万円 | 分担金 30万円 |
| どこへ納める | 業者が供託所に供託 | 業者が保証協会に納付(協会が供託) |
| 納める形 | 金銭または有価証券 | 金銭のみ |
| タイミング | 事業開始前に供託+届出 | 加入しようとする日まで |
| 還付の限度 | 供託した額まで | 営業保証金に相当する額まで |
| 不足の補充 | 通知から2週間以内に供託 | 通知から2週間以内に還付充当金を納付 |
営業保証金は金銭でも有価証券でもよいですが、保証協会の分担金は金銭のみです。「分担金は有価証券でもよい」は誤り。細かいですが出題されます。
数字が多くて大変でしたね。でも安心してください。「登録は一生/宅建士証は5人に1人ではなく5年」「5人に1人で切り上げ」「1000+500」「60+30」――この語呂のセットを唱えるだけで、本試験の半分は反応できます。あとは確認テストで仕上げましょう!
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. 宅建士の登録は、5年ごとに更新しなければならない。
正解は ×。5年で更新が必要なのは宅建士証です。登録は一生有効で、期間による更新はありません。
Q2. 重要事項の説明をするときは、相手の請求がなくても宅建士証を提示しなければならない。
正解は 〇。重要事項説明では請求がなくても提示が必要です(ふだんの取引関係者へは「請求があったとき」)。
Q3. 業務に従事する者が11人いる事務所では、専任の宅建士が3人以上必要である。
正解は 〇。5人に1人以上なので 11÷5=2.2 を切り上げて3人以上です。
Q4. 営業保証金は、本店分も支店分も、それぞれの事務所の最寄りの供託所に分けて供託する。
正解は ×。本店・支店の分をまとめて主たる事務所(本店)の最寄りの供託所に供託します。
Q5. 本店+支店2か所の業者が供託すべき営業保証金は、合計2,000万円である。
正解は 〇。本店1,000万円 + 支店500万円×2 = 2,000万円です。
Q6. 保証協会に加入した業者の弁済業務保証金分担金は、本店100万円・支店ごと50万円である。
正解は ×。分担金は本店60万円・支店ごと30万円です。金額のひっかけに注意しましょう。
Q7. 宅建業者は、複数の保証協会に同時に加入することができる。
正解は ×。加入できるのは1つの保証協会だけです。複数加入はできません。
Q1. 試験合格のあと、宅建士として働くために必要な2つの手続きは?
Q2. 登録に必要な実務経験は何年? ない場合の代わりは?
Q3. 宅建士証の有効期間と、更新時に必要なことは?
Q4. 専任の宅建士の設置基準は?
Q5. 宅建士の3つの独占業務は?
Q6. 営業保証金の額(本店・支店)と供託先は?
Q7. 弁済業務保証金分担金の額(本店・支店)と納付先は?
Q8. 営業保証金の還付を受けられないのはだれ?
📌 このページのまとめ
- 宅建士は合格→登録→宅建士証の順。登録には実務経験2年(または登録実務講習)。
- 登録は一生有効、宅建士証は5年(更新に法定講習)。重要事項説明では請求がなくても宅建士証を提示。
- 専任の宅建士は事務所で5人に1人以上(割り切れなければ切り上げ/11人なら3人)。
- 独占業務は重要事項説明・35条書面の記名・37条書面の記名の3つ。
- 営業保証金は本店1,000万円+支店500万円を本店最寄りの供託所へ。事業開始前に供託+届出。業者は還付を受けられない。
- 保証協会なら分担金は本店60万円+支店30万円を協会へ(金銭のみ)。加入は1協会だけ、還付充当金は2週間以内。