🎯 このレッスンのゴール
- 「宅地」「建物」の意味と、宅建業の定義を正確に言える
- 「自ら貸借は免許不要」という最重要ひっかけを完全に押さえる
- 大臣免許と知事免許の使い分け、有効期間5年・更新の流れが分かる
- 免許の欠格事由、免許換え、廃業等の届出を整理して覚える
ようこそ宅建業法へ! 先生役の「タッケン先生」です。宅建業法は試験50問のうち20問も出る最大の得点源。なかでも今回の「免許のしくみ」は毎年ねらわれます。とくに「自ら貸借は免許いらない」というひっかけは、ここで一生忘れないレベルにしておきましょう。
1. まず「宅地」と「建物」とは?
宅建業法は「宅地」と「建物」の取引を規制する法律です。だから、その「宅地」「建物」が何を指すかをまず正確に押さえます。意外と広いので注意してください。
| 用語 | 意味(宅建業法上) |
|---|---|
| 宅地 | ① 現に建物が建っている土地、② 建物を建てる目的で取引される土地、③ 用途地域内の土地(道路・公園・河川・広場・水路を除く)。 |
| 建物 | 住宅だけでなく、店舗・倉庫・マンションの一室など、屋根と壁のある工作物全般。 |
用途地域内の土地は、たとえいま畑や山林でも、原則として「宅地」に当たります。ただし用途地域内でも、道路・公園・河川・広場・水路として使われている土地は宅地から除かれます。「用途地域の内か外か」「除外5施設か」で判断するのがコツです。
用途地域外にある山林を「別荘を建てる目的」で売買するなら、②建物を建てる目的なので宅地。一方、用途地域外の山林を「そのまま山林として」売買するなら宅地ではありません。「目的」と「用途地域」の両面で見ます。
2. 「宅建業」の定義
宅地建物取引業(宅建業)とは、次の行為を「業として」行うことをいいます。「業として」とは、不特定多数を相手に・反復継続して行うことです。
① 宅地・建物の売買・交換(自ら当事者)
② 宅地・建物の売買・交換・貸借の代理・媒介
ここでいちばん大切なのが、行為の「種類」と「立場」の組み合わせです。次の表で完全に整理しましょう。太枠の1か所だけが免許不要です。
| 取引態様 \ 取引の種類 | 売買 | 交換 | 貸借 |
|---|---|---|---|
| 自ら(当事者) | ○ 必要 | ○ 必要 | × 不要 |
| 代理 | ○ 必要 | ○ 必要 | ○ 必要 |
| 媒介(仲介) | ○ 必要 | ○ 必要 | ○ 必要 |
○=宅建業に当たる(免許が必要)/×=宅建業に当たらない(免許不要)。表のとおり、「自ら貸借」だけが×です。
自分が持っている土地・建物を自分で貸すこと(=自ら貸借)は、何棟あっても、反復継続していても、宅建業に当たりません=免許不要です。転貸(また貸し)も「自ら貸借」と同じ扱いで免許不要。
試験では「アパートを何十棟も建てて反復継続して賃貸する者は免許が必要か?」→答えは「不要」。「大規模だから必要そう」と思わせる典型ひっかけです。
一方、他人の物件の貸借を代理・媒介するなら○(必要)。立場が変わると結論も変わる点に注意。
あなたが自分のアパートの大家さんなら、入居者を募って自分で貸すのは自由(免許不要)。でも、他人のアパートの入居者探しを仲介して手数料をとる不動産屋さんになるには免許が必要。「自分の物を貸すだけならセーフ、人の取引に絡むとアウト」とイメージしましょう。
3. 免許がいらない人(例外)
宅建業に当たる取引でも、次の者は免許なしで宅建業を行えます。
| 免許不要な者 | 理由・ポイント |
|---|---|
| 国・地方公共団体 | 宅建業法の規定が適用されない(都道府県・市町村も同じ)。 |
| 信託会社・信託銀行 | 免許の規定は適用されないが、国土交通大臣への届出で宅建業者とみなされ、業法の他の規定は適用される。 |
信託会社・信託銀行は免許は不要ですが、宅建業を営むには国土交通大臣への届出が必要で、届け出れば大臣免許を受けた宅建業者とみなされます。「免許不要だから何の手続きもいらない」は誤り。
なお、国・地方公共団体は届出すら不要(業法そのものが適用外)です。
4. 免許の種類:大臣免許と知事免許
宅建業の免許には2種類あります。区別の基準は「事務所をいくつの都道府県に置くか」だけです。営業エリアや取引の場所は関係ありません。
| 事務所の置き方 | 免許の種類 | 免許権者 |
|---|---|---|
| 2つ以上の都道府県に事務所を置く | 国土交通大臣免許 | 国土交通大臣 |
| 1つの都道府県のみに事務所を置く | 都道府県知事免許 | その都道府県知事 |
たとえば東京都にだけ本店があり、千葉県・埼玉県の物件を売買・媒介しても、事務所が東京都内だけなら東京都知事免許でOK。取引する物件がどこにあるかは無関係です。
逆に、東京都に本店・大阪府に支店があれば、事務所が2つの都道府県にまたがるので大臣免許になります。
知事免許でも、全国どこの物件でも取引できます。「東京都知事免許だから東京都内の物件しか扱えない」は誤り。知事免許か大臣免許かは「事務所の数」の問題であって、「営業できる範囲」の制限ではありません。
5. 免許の有効期間と更新
免許は一度とったら一生有効、ではありません。期限があり、更新が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効期間 | 5年(大臣免許・知事免許とも共通)。 |
| 更新の申請期間 | 有効期間満了の日の90日前から30日前までに申請。 |
| 申請したのに処分がないまま満了したら | 従前の免許は、処分がされるまでなお効力を有する(期間満了後も有効が続く)。 |
| 更新後の有効期間 | 従前の免許の満了日の翌日から起算して5年(更新処分が遅れても、新しい5年は元の満了日の翌日からカウント)。 |
有効期間が「2026年6月30日まで」の免許を更新する場合、申請は2026年4月1日(90日前)~同年6月1日(30日前)の間に行います。もし審査が長引いて7月10日に更新処分が出ても、新しい免許は2026年7月1日から5年(2031年6月30日まで)。空白期間が生じないよう、つながる仕組みです。
6. 事務所と案内所
免許の種類を決める「事務所」は、宅建業法上きちんと定義があります。看板や雰囲気ではなく、機能で判断します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 事務所 | ① 本店(主たる事務所)、② 支店(従たる事務所)のうち宅建業を営むもの、③ 継続的に業務を行える施設で契約締結権限を持つ者を置くもの。 |
| 本店の扱い | 本店で宅建業を営んでいなくても、支店で宅建業を営めば本店も事務所として扱われる(本店は常に事務所)。 |
| 案内所 | 分譲現場の近くなどに一時的に設ける場所。事務所ではないが、契約・申込みを受ける案内所は専任の宅建士1名以上の設置や届出が必要になることがある。 |
本店が建設業だけを行い宅建業をしていなくても、宅建業を営む支店があれば、本店も宅建業法上の事務所になります(=本店にも専任の宅建士・営業保証金などの義務がかかる)。一方、宅建業を営まない支店は事務所に含まれません。
7. 免許の欠格事由
一定の事情がある者には、免許が与えられません(与えられても取り消されます)。これを欠格事由といいます。代表的なものを整理します。とくに「5年間」免許を受けられないパターンが頻出です。
| 欠格事由(代表例) | 免許を受けられない期間 |
|---|---|
| 禁錮以上の刑に処せられた(執行終了・免除から) | 5年間 |
| 宅建業法違反、傷害・暴行など一定の犯罪、背任罪で罰金に処せられた | 5年間 |
| 不正手段で免許取得・情状が特に重い等で免許を取り消された | 取消しの日から5年間 |
| 免許取消処分の聴聞の公示後に、相当の理由なく廃業等の届出をした | 届出の日から5年間 |
| 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 | 該当する間(5年) |
| 心身の故障により業務を適正に行えない者、破産手続開始決定を受けて復権を得ない者 | 復権・回復まで(破産は復権で直ちに可) |
| 免許申請前5年以内に宅建業に関し不正・著しく不当な行為をした者 | 5年間 |
・禁錮以上(懲役・禁錮)の刑 → 罪名を問わず5年間欠格。
・罰金刑 → 宅建業法違反・暴力的な一定の犯罪・背任罪のときだけ5年間欠格。それ以外の罪の罰金(例:過失の交通事故の罰金)は欠格になりません。
・控訴・上告中で刑が確定していなければ、まだ欠格ではありません。
破産手続開始決定を受けても、復権を得れば直ちに免許を受けられます(5年待つ必要はありません)。「破産=5年間ダメ」と覚えると間違えるので注意。法人の場合は、その役員にこうした欠格事由があると、法人自体も免許を受けられません。
8. 免許換え
事務所の設置状況が変わると、必要な免許の種類も変わります。このとき行う手続きが免許換えです。
| 変化のパターン | 新しい免許権者 |
|---|---|
| 知事免許の業者が、他の都道府県にも事務所を設置(2以上に) | 国土交通大臣(大臣免許へ) |
| 大臣免許の業者が、事務所を1つの都道府県だけに整理 | その都道府県知事(知事免許へ) |
| 知事免許の業者が、唯一の事務所を別の都道府県へ移転 | 移転先の都道府県知事 |
免許換えで新しい免許を受けると、その免許の有効期間はあらためて5年になります(更新と違い、前の免許の残り期間は引き継ぎません)。また、免許換えをすべきなのにしないと、免許取消しの対象になります。
9. 廃業等の届出
業者が死亡したり会社をたたんだりしたら、その旨を届け出ます。「誰が・いつまでに・いつから免許が失効するか」がよく問われます。原則30日以内ですが、死亡だけ起算点が違うので要注意。
| 事由 | 届出義務者 | 届出期限 | 免許失効の時期 |
|---|---|---|---|
| 個人業者の死亡 | 相続人 | 死亡を知った日から30日以内 | 死亡の時 |
| 法人の合併消滅 | 消滅会社の代表役員であった者 | 30日以内 | 合併の時 |
| 破産手続開始の決定 | 破産管財人 | 30日以内 | 届出の時 |
| 法人の解散(合併・破産以外) | 清算人 | 30日以内 | 届出の時 |
| 廃業(宅建業をやめた) | 業者であった個人・代表役員 | 30日以内 | 届出の時 |
死亡・合併は、事実が起きたその時点で免許が失効します(届出はあとから)。一方、破産・解散・廃業は、届出をした時に免許が失効します。
また、死亡だけは届出の起算点が「死亡を知った日から30日以内」(相続人がすぐ知るとは限らないため)。合併・破産・解散・廃業は事由発生日から30日以内です。
10. 宅地建物取引業者名簿と変更の届出
免許を受けた業者は、免許権者が備える宅地建物取引業者名簿に登載されます。名簿の一定事項に変更があったときは変更の届出が必要です(30日以内)。
| 変更の届出が必要な主な事項 |
|---|
| 商号・名称、事務所の名称・所在地 |
| 役員・政令で定める使用人(支店長など)の氏名 |
| 事務所ごとに置く専任の宅地建物取引士の氏名 |
役員や専任宅建士が変わった → 変更の届出(30日以内)。
会社をたたんだ・死んだ → 廃業等の届出(原則30日以内)。
どちらも「30日以内」ですが、目的が違うので混同しないように。なお、宅建士の住所変更や、業者名簿に載らない事項は変更の届出の対象外という細かい論点も出ます。
Q1. 自ら所有するアパートを多数、反復継続して賃貸する者は、宅建業の免許を受けなければならない。
正解は ×。自ら貸借は宅建業に当たらず、規模や反復継続にかかわらず免許は不要です。転貸も同じく不要。これが最重要ひっかけです。
Q2. 他人が所有する建物の貸借の媒介を、業として行うには免許が必要である。
正解は 〇。貸借でも代理・媒介は宅建業に当たり、免許が必要です。免許不要なのは「自ら貸借」のときだけ。
Q3. 東京都にのみ事務所を置く業者は、東京都内に所在する物件しか取引できない。
正解は ×。知事免許でも全国どこの物件でも取引できます。免許の種類は「事務所の数(都道府県)」で決まり、営業範囲の制限ではありません。
Q4. 2以上の都道府県に事務所を設置して宅建業を営む者は、国土交通大臣の免許を受ける。
正解は 〇。事務所が2以上の都道府県にまたがれば大臣免許、1つの都道府県だけなら知事免許です。
Q5. 宅建業の免許の有効期間は3年であり、更新は満了の60日前までに申請する。
正解は ×。有効期間は5年、更新申請は満了の日の90日前から30日前までです。数字のひっかけに注意。
Q6. 破産手続開始の決定を受けた者は、復権を得ても、決定の日から5年間は免許を受けられない。
正解は ×。破産者は復権を得れば直ちに免許を受けられます。5年間待つ必要はありません。「破産=5年」は誤りです。
Q7. 個人業者が死亡した場合、その相続人は、死亡を知った日から30日以内に届け出なければならない。
正解は 〇。死亡は相続人が、死亡を知った日から30日以内に届出。なお免許の失効は届出時ではなく死亡の時です。
Q1. 「宅建業」とは、どんな取引を業として行うこと?
Q2. 免許が不要になる唯一の取引態様は?
Q3. 用途地域内の土地で、宅地から除かれるのは?
Q4. 大臣免許と知事免許は、何で区別する?
Q5. 免許の有効期間は? 更新の申請期間は?
Q6. 禁錮以上の刑に処せられた者は、何年間免許を受けられない?
Q7. 知事免許の業者が他の都道府県にも事務所を設けたら、どんな手続き?
Q8. 法人が合併で消滅したとき、免許はいつ失効する? 届出義務者は?
📌 このページのまとめ
- 宅建業=①宅地・建物の売買・交換(自ら)、②売買・交換・貸借の代理・媒介を業として行うこと。
- 最重要:自ら貸借(転貸含む)は宅建業ではない=免許不要。代理・媒介はすべて免許必要。
- 国・地方公共団体は業法適用外、信託会社等は免許不要だが大臣への届出が必要。
- 免許の種類は事務所の都道府県の数で決まる(2以上=大臣、1つ=知事)。効力は全国共通。
- 有効期間は5年、更新申請は満了日の90日前~30日前。申請後満了しても処分まで効力存続。
- 欠格事由は禁錮以上で5年、一定の罰金で5年、免許取消し・暴力団員で5年など。破産は復権で即OK。
- 免許換えで有効期間は新たに5年。廃業等の届出は原則30日以内、死亡・合併は事由発生時に失効。
- 名簿の一定事項(商号・事務所・役員・専任宅建士など)の変更は変更の届出(30日以内)。